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「1億円プレイヤー」とプロ野球の年俸高騰 昭和の頃はサラリーマンと大差ない年収も…FA制度が原因か
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2020/12/11 11:02
FA移籍して2019年から巨人の一員となった炭谷銀仁朗
ファンが選手を特別視する根拠でもある
とまれ、プロ野球選手が、サラリーマンと桁違いの年俸を得ることは、メリットの方が多い。野球選手のステイタスが上がり、選手の意識も変わり、社会的な責任感も出てくるというものだ。
昨年、東京スポーツがあるプロ野球OB選手の言葉を紹介していた。
「年俸の公開で一番傷つくのは多分、選手自身ではなく家族。中でも特に子供だと思う。自分も大幅減俸の際、息子が周囲からバカにされたらしく『学校に行きたくない』と泣かれたことがあった。当時は年俸を公表するのが当たり前だと考えていたので、息子には『我慢しろ』と諭したけど、冷静に考えればおかしい。奥さんも年俸減が報じられると、近所の人から変な目で見られたみたいだし。メディアやファンの思いもあるだろうけれど、個人的にはやめてもらいたい。いや、大半の選手がそう思っているはず」
もちろん、プライバシーは守られるべきだが、年俸は記録、実績などとともに選手の「評価」そのものだ。そしてファンが選手を特別視する重要な「根拠」にもなっている。
「年俸」は、野球選手の「高いプロ意識」の源泉になるのではないかと思う。