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東大卒がなぜバレーボールのアナリストに? 日本代表・古賀紗理那も「裏ボス」と信頼する“伝える”技術
posted2020/11/28 06:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
NEC RED ROCKETS
バレーボールV1リーグ女子のNECレッドロケッツは、10試合終え、8勝2敗の2位につけている(11月27時点)。エース古賀紗理那、山田二千華など日本代表選手たちの活躍もさることながら、好成績の背景には、隠れた“参謀”の存在が大きい
東京大学出身のアナリスト、藤原稜だ。
医師や運営に携わるスタッフを除けば、バレーボールトップカテゴリーの現場に携わる中で東大出身者は彼ひとりである。
アナリストは、参謀や頭脳とたとえられ、戦術を組み立てるうえで不可欠な存在だ。NEC金子隆行監督も「内閣で言うならば官房長官。彼に頼るところは非常に大きい」と評する。
「伝える」に長ける藤原アナリスト
世界ではスカウトとも呼ばれるアナリストの仕事は多岐に渡る。試合時にはコートが一望できるスタンド席の後方上段に座り、試合を録画しながらリアルタイムにデータを打ち込む。誰がサーブを打ち、どのコースにボールが飛んだか、そのボールを誰がどちら側でレシーブし、セッターにどんな状況で返ったか。攻撃につながったとしたら攻撃に入った選手と打った人、それぞれの攻撃は何だったか。その1つ1つは実に細かく、打ち込む内容は膨大だ。しかも試合が終わればそれを分析し、翌日の対戦に向けての改善点と、次の試合の対戦相手の傾向をまとめ、監督やコーチと策を練り、戦術、戦略を組み立て、ミーティングでわかりやすく選手に伝える。
この「伝える」作業こそが最も重要で、藤原の頭脳明晰ぶりが最も発揮されるところだと話すのがNECのエース古賀だ。
「藤原さんの説明はシンプルでわかりやすいんです。選手からすると、全部の情報を伝えられるとパンクするので、要点をまとめて一番理解しやすい言葉で言ってくれるのがすごくありがたいです」