バレーボールPRESSBACK NUMBER
新渡戸稲造を読む親日家、NBA選手の息子は八村塁の元同僚 パナソニック新監督ティリさんってどんな人?
posted2020/12/03 11:01
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
バレーボールのV.LEAGUE男子の中で強豪チームといえば、まず挙がるのがパナソニックパンサーズだろう。昨シーズンはDIVISION1ファイナルでジェイテクトSTINGSに敗れたが、最近の9シーズンで7度ファイナルに進み、4回優勝している。
そのパナソニックが、壮大なビジョンの実現に向けて一歩を踏み出した。
日本のトップであることに満足せず、世界で戦えるチーム、世界にも価値を認められる選手の育成を目指し、フランス代表監督を務めるロラン・ティリを、新監督として招聘したのだ。
元日本代表監督の南部GMが尽力
外国人監督の就任はパナソニックでは初めてのこと。ティリ監督に白羽の矢を立てたのは、南部正司ゼネラルマネージャーだった。
「バレーボールに対する考え方や、フランス代表をしっかりと立て直された手腕については、いろいろと話をする中で『ここまで考えて、深く追求しているんだな』と感じるところが多くありました。育成力というところで、この方に任せれば、パンサーズを日本国内のみならず、世界のクラブチームとも対等に戦えるようなチームに成長させていただけるんじゃないか、世界で勝つ選手をしっかり育成できるんじゃないかと考えました」
南部GMは、2014年から2年間日本代表監督を務め、その時期にティリ監督と親交を深めた。
2014年の夏にはフランスに遠征し、フランス代表と親善試合や練習を行い、ティリ監督が作ったメニューで日本代表が練習する機会もあった。
日本代表が、反復練習も黙々とやり続ける姿を見て、ティリ監督は「日本の選手は集中力を切らさずにしっかりと取り組んでくれる」と感心し、「フランスの選手は、10分、15分で集中力が落ちてくるので、練習メニューを作るのも苦労するんだよ」と苦笑していたという。
そうした言葉の端々や、若い頃に新渡戸稲造の『武士道』を読んだ話などを聞くにつれ、南部GMはティリ監督の、日本や日本バレーに対する興味やリスペクトを感じた。何より共に過ごす中でバレーに対する情熱が伝わってきたという。