リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
スアレス効果でシメオネ戦術が進化! 堅守&闘争心+ポゼッション=アトレティコ好調
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2020/11/28 17:01
バルサをお払い箱になったスアレスを、A・マドリーの“親分”であるシメオネ監督はキッチリと生かしている
1試合平均2.25点はリーガ最多であるだけでなく、優勝した2013-14シーズンの2点を上回り、これまたシメオネ期最多である。昨季(1.3点)と比べると1点近く増えている。
CLでの弱腰ゲームプラン敗戦が契機か
今年8月に行われた昨季CL準々決勝RBライプツィヒ戦、アトレティコは弱腰とも取れるラインアップとゲームプランで臨み、敗れた。
シメオネが方向性を変えたのは、この敗北がきっかけと思われているが、変化の兆しは昨季の中断明けから感じられた。またアトレティコと縁が深く、職員としてプレス担当を務めたこともある代理人はラジオ番組でこう明かしている。
「選手たちがプレースタイルを変えるように求めたんだ。彼らはもっと攻撃的なサッカーをしたがっていた」
「スアレスは相手が嫌がるエリアに」
そこに、ルイス・スアレスがやって来た。
彼の加入が決定的だったとシメオネ自身は語っている。
「ジエゴ・コスタやモラタは広く開いたスペースへ走り込むタイプなのでそういう状況を作るようにしていたが、スアレスは相手が嫌がるエリアに留まり、近くに仲間がいることを望む。我々は得点という最も難しいことを成し遂げる方法を模索しているのだ」
シメオネは決して守備を偏重し、拘泥するような監督ではない。振り返ると、リーベルプレートを率いていた頃はボール捌きに長けたタレントを活かした攻撃を仕掛けていた。
「選手たちの特徴が、選ぶべき道を示す。監督はチームの力を高めるだけだ。サッカーは絶えず変化するものだから今後の可能性や頭の中にあることは言わないでおくが、我々はいまのプレーを1試合ずつ続けつつ、体力や気力や練習の様子を見ながら、その都度何が必要なのか考えていく」