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ラツィオに大黒柱インモービレの“コロナ隠蔽”疑惑で捜査が…最悪、リーグ追放も
posted2020/11/29 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
新型コロナウイルス陽性選手を“陰性”と偽って、試合に出場させる。
COVID-19の脅威とともに進行する今季のセリエAで、「コロナ陽性隠蔽スキャンダル」とでも呼ぶべき事件が起こった。
疑惑の震源地はラツィオで、渦中にあるのは昨季の得点王であるチロ・インモービレだ。反スポーツ行為どころか、公衆衛生や他者の健康まで脅かしたスキャンダルの一端は刑事事件に発展しており、検察庁とイタリアサッカー連盟からなる調査チームの捜査は着々と進んでいる。
捜査結果によるが、ラツィオに下される罰則処分はおそらく厳しいものになるだろう。現地メディアの見立てでは勝ち点剥奪と高額罰金はもちろんのこと、最悪の場合、最下位扱いによるセリエB降格、もしくはリーグ戦からの追放という厳罰が下される可能性すら取り沙汰されている。
CLを前にした検査でインモービレらが陽性反応
この事件が明るみに出たのは、約1カ月前のことだ。
10月26日、CLグループリーグ第2節のブルージュ遠征を翌日に控えたラツィオは、UEFA規定に従いコロナ感染検査を実施した。そこで陽性反応が出たインモービレを筆頭とする4人が出場不可となり、自宅での自主隔離生活に入った。
当時、故障者続出で深刻な戦力不足に陥っていた指揮官シモーネ・インザーギにとって、計算できるエースや主力組の陽性診断は相当な痛手だったにちがいない。「こうなったらもう私がプレーするか……」と前日会見で自虐ジョークを飛ばすほどだったが、エースを欠いたラツィオは敵地で何とか引き分けた。
陽性反応の出た選手の復帰には本来ならば10日間の検疫期間を要するが、10月30日の検査で陰性反応が出て、翌31日に再び陰性となったインモービレは、11月1日に行われたセリエAの第6節トリノ戦に途中出場で復帰。後半アディショナルタイムにPKを決めて、4-3の大逆転勝ちに貢献した。