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西岡剛が明かす来季展望「野球を続ける」川崎宗則とプレーして感じた不思議な力とは?
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byWataru Sato
posted2020/11/18 17:00
来季の去就が未定ながら、2021年への抱負を語った西岡剛。36歳となったいまも「野球が好き」という気持ちが原動力だと語った
西岡が考える、これからの「強い組織」
――選手の能力をまだまだ引き出せる指導があると?
これからはどんどん時代が変わっていく。今は中高生だって伸び伸び、野球をやりだしているじゃないですか。自分の高校時代とは全然違う。でも、それでいいと思うんですよ。これはアメリカで感じたことでもあります。日本には日本の良さがいっぱいあるけど、海外にも同じように良さがある。過度な上下関係は海外からみたら少しクレイジー。それをうまく混合させてやっていかないと、これからは組織としてのレベルが上がらないと思う。
特に大事なのは監督やコーチと選手の関係。上も下もない、“一緒”だと思うんですよね。同じフィールド、同じ土台に立つ仲間。こうやって気軽にしゃべれる感じになってもいいと思う。でもいまだに監督室の扉を開けるのは重たいし、監督やコーチが来たら、やっぱり気を遣ったり。
――それを言えば、歳下の選手が多かった栃木では気を遣われる側だったはずですよね?
まさにそう。僕がグラウンドに現れたら、わざわざ向こうからストレッチをやめて「おはようございます!」とこっちまで駆け寄ってくる。そういうのはもういらないよ、と。What’s up?でいい(笑)。もちろん無視はダメだけど、「おはよう!」「オーライ、がんばって」で良いんですよ。「剛さん」「西岡さん」とかもいらないの、「ツヨー」でOK。
練習なんかも、まだまだ効率的にできるところはたくさんあるはずなんです。例えばみんなAirPodsを繋いで、監督やコーチの指示を受けたりできたら面白くないですか? ボタンをピッと押したら全員に「センターに打つから、みんなちょっと打球を追っていってくれ」とか。むしろそっちの方が集中して練習できるかもしれない。それができたら一回一回集合しなくていいですよね。とにかく今はまだ無駄が多いから排除したいんですよ。そういう組織になってくれば、もっと円滑に動いていくことも多いと思っています。
――円滑に、とは強くなるということですか?
強くなる。絶対、強くなる。戦う集団をつくるためには、選手ファーストであるべきだと思っています。監督・コーチがやりやすい環境じゃなく、選手が思い切ってプレーできる環境をつくる。監督・コーチは選手のサポート役に回らないといけない。だから「選手を使ってやる」じゃなくて。それはいろいろ経験して感じたところですね。
【後編へ続く】西岡剛が語った野球界への焦燥と改革アイディア「どんどん変える」
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