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悪夢の0-9惨敗も今や昔? サウサンプトンが“二日天下”でもプレミア首位に立てた理由
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/11/15 06:00
今季プレミアで好調を保っているサウサンプトン。ハーゼンヒュットル監督の思い描く図を選手たちが体現している
サウサンプトンにとっては、「金曜ナイターの悪夢」を葬り去る首位浮上でもあった。同じく金曜の夜に行われたホームでのレスター戦で、1885年に始まったクラブ史上最悪の大敗(0-9)を喫したのは昨年の10月後半。クラブのフロント陣は、ハーゼンヒュットル体制を辛抱強く見守ってきた自らの正しさを、改めて確認したことだろう。
早期解任になっても不思議ではなかったが
オーストリア人指揮官は、もうすぐ就任2年目が終わろうとしているが、監督の短命が珍しくないプレミアだけに早期解任となっても不思議ではなかった。
第15節から采配を振った一昨季は、18位で引き継いだチームを残留に導きはしたが、5試合連続で勝ち星のない低調な16位フィニッシュだった。初めてフルシーズンを戦った昨季は2連敗スタート。レスター戦での記録的大敗は、リーグ戦で2カ月ほど白星がなく、降格圏内に落ちていた時期の出来事でもあった。
その間のチェルシー戦(1-4)を観た限りでは、監督がハーゼンヒュットルである意味自体が感じられなかった。2点をリードされた時点で諦めたように見えたチームは、監督交代直後にあった果敢なプレッシングや、一気に攻め崩すためのオーバーロード(※選手を集中させるエリアを作る戦法)など、ハーゼンヒュットル監督が志向するスタイルが見られなくなっていたからだ。
ただ振り返ると、3バックから現在の4-4-2へシステムも変わる中で、スタイルを植え付けるのに時間がかかったということなのだろう。
アタッキングサードでの激しさが攻守両面で見られるようになったのは、引き分けに終わった昨年11月後半のアーセナル戦(2-2)あたりから。今年1月には敵地での逆転勝利(2-1)でレスターに軽く借りを返し、コロナウイルス感染拡大による中断後はマンチェスター・シティ戦での3ポイント獲得(1-0)を含む5勝3分1敗で、その機能性と自信を高めていた。
イングスを失うはめになったのだが
そして先のニューカッスル戦は、ハーゼンヒュットル色がチーム全体に浸透し始めていることをうかがわせる完勝でもあった。
サウサンプトンは、アストンビラとの前節でキーマンのダニー・イングスを失うはめになっていた。膝の半月板の手術を余儀なくされたエースは、開幕7試合で5得点2アシストという得点源である以上に、最前線からの果敢で献身的なプレッシングでチームを機能させていた重要人物だ。