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悪夢の0-9惨敗も今や昔? サウサンプトンが“二日天下”でもプレミア首位に立てた理由
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/11/15 06:00
今季プレミアで好調を保っているサウサンプトン。ハーゼンヒュットル監督の思い描く図を選手たちが体現している
リバプール時代は2度に渡る膝の大怪我もあって真価を示すことができなかった。だが、ユルゲン・クロップ向きのストライカーとして期待された理由を今、サウサンプトンの前線で実証している。
イングス欠場の穴を埋めたのは、前月に移籍加入したばかりのセオ・ウォルコットだ。それまで2年9カ月を過ごしたエバートンで復活したとは言い難い31歳は、ユース出身の10代だった当時頭角を現したサウサンプトンで2度目のホームデビューを飾り、ハーゼンヒュットル軍の一員としてイングスの代役を務めた。
ウォルコットが2トップの一角として機能
チームは攻撃的な左SBライアン・バートランドも怪我で欠いていた。それでもウォルコットは2トップの一角で機能したのが大きかった。
バートランドの代わりにCBジャック・スティーブンスが起用され、右SBカイル・ウォーカー・ピータースのオーバーラップの頻度が増した。
また右ウインガーのアームストロングはインサイドに下がる姿が見られ、普段より高い位置を意識できたジェイムズ・ウォード・プラウズとオリオル・ロメウの両センターハーフも守備的なスティーブンスの存在で普段より高い位置をとれた。ウォルコットは彼らと絡みながら、チェ・アダムスとコンビで大きく貢献したのだ。
前半早々の7分、先制ボレーを決めたアダムスが右足で捉えたクロスは、ウォーカー・ピータースとの連動でボールを奪ったウォルコットによる折り返し。終盤の82分には中央からドリブルで斬り込むと相手DF陣のもたつきを誘い、アームストロングに追加点のチャンスを与えた。
名前を挙げた7選手に、代表レベルでも主力と呼べる者はいない。スペイン人のロメウ以外はイングランド人だが、28歳で最盛期のイングスも、今年10月にオーバーヘッドで初得点を決めたウェールズ戦が代表3試合目。クラブでキャプテンを務める26歳のウォード・プラウズにしても代表キャリアは4試合で、1度しか先発していない。