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「オリンピック選手のスキャンダルが燃えやすいのはなぜ?」柔道部出身の格闘家・青木真也の答えは… 

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おおたとしまさ

おおたとしまさToshimasa Ota

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photograph byWataru Sato

posted2020/11/07 17:03

「オリンピック選手のスキャンダルが燃えやすいのはなぜ?」柔道部出身の格闘家・青木真也の答えは…<Number Web> photograph by Wataru Sato

“異業種格闘対談”にのぞむ東大卒プロゲーマー・ときど(左)とプロ格闘家・青木真也

青木 だって、僕たちはサブカルチャーだから好きな表現ができるわけじゃないですか。僕がメジャースポーツで有名になっちゃったら、聖人君子みたいに振る舞って、正論だとか建前を言わなきゃいけなくなるでしょ。僕がつくりたいものはもっとドロドロしたもの。人間が生きるうえでの葛藤、恥ずかしいことだとか、貪欲さだとか、煩悩みたいなものをリング上に描きたいわけですよ。

ときど なるほど。

青木 そういう意味ではオリンピックアスリートは弱いなってことを、瀬戸大也の件で思いました。「オリンピック選手」というイメージからズレちゃうと、いろいろなものを失っちゃう。好きなことを言いたい放題に言う自由を手放すなんて、僕は絶対イヤですよ。

ときど でも僕は、自分自身に嘘をつきたくない一方で、もっともっとゲームの世界を広げていきたいと思っています。ほかにも面白いゲームはたくさんつくられていますから、世の中の興味がそっちのほうに移行して、いつか僕らの世界がなくなっちゃうんじゃないかなという恐怖心があるんです。そこで格闘ゲームの世界を残していくために、ゲームに対するネガティブなイメージを払拭したいという思いは強いです。

ゲーム業界なんてなくなっちゃえばいい?

青木 「残す」か……。なくなっちゃえばいいじゃないですか。

ときど いや、なくなったら……、僕、生きてる意味なくなっちゃいますもん。

青木 生きてる意味なくなるんでしょ? だったら絶対残るじゃん!

ときど えっ?

青木 残そうとしなくても、必要だったら残るんですよ。残るようなものを我々がつくっていけばいいだけなんです。僕が救われた格闘技とか、僕が夢に見た格闘技みたいなものは残していきたいと思うけど、格闘技自体を無理に残そうという気持ちはないですね。「公衆電話を残すためにみんなで公衆電話を使いましょう」みたいなことは誰も言わないじゃないですか。

ときど 僕にはもともと、「真剣にゲームをやって何が悪い」というテーゼを世の中にぶつけたいという思いがあります。ゲームだって真剣にやれば、人間的成長につながるという確信があります。それを発信できれば、ゲームに対するクリーンなイメージもついてくるだろうし、それを伝えることと自分のやりたいことは、僕のなかでは全然矛盾していないんですよ。ただ、青木さんの話を聞いていると、僕はまだ力不足かもしれない。

青木 必要なものは必ず残っていくから、心配しなくていいですよ。

(写真=佐藤亘)

(【続き】「アスリートは何歳で引退するべきか?」37歳プロ格闘家、35歳プロゲーマーが語った“引き際” へ)

青木真也(あおきしんや)

プロ格闘家。「PRIDE」「DREAM」などで活躍し、「ONE FC」元ライト級世界チャンピオン。37歳。小学生のころから柔道を始め、柔道で中・高・大へと進学。大学進学に際しては、引く手あまたのなか、父親の助言で早稲田大学を選択。しかしゴーイングマイウェイ過ぎて柔道部を追い出され、総合格闘技を始める。いったんは生まれ故郷静岡県の警察官として就職し、警察学校生活を始めるものの「こんな生活絶対無理!」と感じて退職。2006年から格闘技漬けの生活に。

 

ときど

プロゲーマー。「米国Evo 2017 ストリートファイターⅤ部門」優勝など、世界大会における優勝回数は世界トップクラス。35歳。転校した小学校でいじめにあい、格闘ゲームの世界にのめり込む。ゲームを好きなだけやりたい一心で勉強も頑張り、麻布中高、東大へと進学。しかし大学院進学で挫折を経験し、地方公務員就職の最終面接直前に海外から一通のメールを受け取る。プロゲーマー契約の打診だった。父親の後押しもあり、2010年、プロゲーマーの道を選ぶ。

 

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