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「ぶん殴られて痛いなんて未熟ですよ」プロ格闘家・青木真也が東大卒プロゲーマー・ときどにズバリ

posted2020/11/07 17:02

 
「ぶん殴られて痛いなんて未熟ですよ」プロ格闘家・青木真也が東大卒プロゲーマー・ときどにズバリ<Number Web> photograph by Wataru Sato

“異業種格闘対談”にのぞむ東大卒プロゲーマー・ときど(左)とプロ格闘家・青木真也

text by

おおたとしまさ

おおたとしまさToshimasa Ota

PROFILE

photograph by

Wataru Sato

プロ格闘家で「PRIDE」「DREAM」などでも活躍した、「ONE FC」元ライト級世界チャンピオン青木真也さん。麻布中・高から、東大へと進学したのち、プロゲーマーに転身。世界トップクラスの優勝回数を誇るときどさん。2人の“異業種格闘対談”が実現しました。聞き手はときどさんの中・高の先輩にあたり、『麻布という不治の病』を出版した教育ジャーナリストのおおたとしまささんです。(全3回の1回目/#2#3へ)

いまは「ファイトマネーよりYouTube収入」

ときど 大晦日に格闘技番組ばかりやっていた時期がありましたよね。当時よく見てました。

青木 かつてはテレビが強かったから「格闘技ブーム」ができました。いまはテレビが衰退しているので、メジャーな文化をつくるのが難しい。社会のルール自体がこの10年くらいで変わってきている感じはしますよね。

ときど eスポーツは逆にこの3年くらい本当に上り調子です。僕がこの業界に入った約10年前と比べると、メディアへの露出量も評価のされ方もとんでもなく違います。新しい分野ですからビジネスチャンスだと思って乗っかってくれるひとも多い。そんな状況でしたが、コロナになりましたよね。ゲーム対戦はオンラインでも一応できるのですが、格闘技同様、リアルな場での興行は業界構造上欠かせないものです。やっぱり影響は受けていますね。

青木 格闘技もイベント商売なので、コロナの影響を思いっきり受けています。海外への移動もできないし。でも、面白くなってきたのは、ここに来て、興行団体よりも個人が強くなってきている気がすることです。その意味では、業界自体が揺らいでいるように思います。

ときど 揺らいでいる?

青木 かつては試合に出て対価を得るというスタイルが主流だったんですが、最近ではYouTubeで稼いでいたり、スポンサー契約で稼いでいたりという若い選手が増えていて、試合に出ること自体は“プロモーション的”な意味合いになってきているような気がします。でもそれを職業としての「格闘家」といっていいのかというと、僕自身は首をかしげるところがあります。「職人」として格闘技で表現するという文脈からはちょっと遠くなってきているんじゃないかな。

ときど 僕らの世界でもゲームの賞金だけで食っているひとって少ないんですよ。やっぱりスポンサー収入や、最近では動画配信の収入がバカにできません。そういう意味での「プロゲーマー」なんです。ゴルフやテニスほど大きな賞金をもらえる大会がまだないという業界規模の問題もありますけど。

 僕がやっている格闘ゲームではいちばん大きい大会で賞金3000万円とかありますし、ほかのゲームジャンルでは1億という大会もありますけど、そこで勝てるプレーヤーならスポンサー収入はさらにその何倍にもなっているだろうと思います。

「格闘技しか知らないやつは、格闘技のことを何も知らない」

青木 失礼ですけど、僕自身はeスポーツにはあんまり興味がないというか――でもメンタルが勝敗を分けるものだとは思うので、どう向きあってどう追いつめられているのか、そしてどう自分を痛めつけていくのか、にすごく興味がありますね。

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