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巨人、2連覇「3つの核心」 原采配の妙、澤村トレードの真相、馬車馬のように働いた“あの投手”
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/10/31 11:03
セ・リーグ連覇を達成し、エース・菅野を中心に写真に収まる巨人投手陣
「思い切った決断が求められるシーズンになる」
そして肝心なのは、この起用が単に大差のゲームで中継ぎ陣を温存するだけの思いつきではなかったことである。
「新型コロナウイルスの感染が広がっている今年は、選手の使い方がいつも以上に難しくなる。より早く、思い切った決断が求められるシーズンになると思う」
原監督がこう語っていたのは開幕直前のことだった。
言葉の背景にあるのはコロナ禍による選手のコンディションへの憂慮だったのだ。
「いつもはキャンプからオープン戦を経て、心身ともに選手は戦える状態へとコンディションを上げてくる。しかし、今年はそういう段階が非常に短く、しかもキャンプで出来上がった体を実戦で仕上げていく過程がかなり短縮されている。日程的にもこれまで経験したことのないような連戦が続くので、思いもよらないケガをする選手が出ることは覚悟していますよ」
9月1日から13連戦(6日の阪神戦は雨天中止)を戦い、1日休んでさらに9連戦という過密日程が組まれた。そのためにチーム運営で最も注意を払ったのが、選手に練習をさせ過ぎない、試合を休ませる勇気を持つことだった。
早めの欠場を徹底
昨年からデーゲームや移動日なしの試合の場合は、自主練習に切り替えて全体練習は休むことが多かったが、今季はそれをさらに徹底。とにかく練習よりもコンディショニング優先でチームを動かしてきた。
そしてもう1つが早めの欠場の徹底だ。
2018年6月2日から不動の4番を務めてきた岡本和真内野手が、軽い腰痛で先発を外れたのは9月16、17日の阪神戦だった。腰の持病を持つ坂本勇人内野手は7月に脇腹を痛めて一時的に戦線離脱。その後も大差のついた試合などでは中盤でも早めにベンチに下げて負担軽減に努めた。