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巨人、2連覇「3つの核心」 原采配の妙、澤村トレードの真相、馬車馬のように働いた“あの投手”
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/10/31 11:03
セ・リーグ連覇を達成し、エース・菅野を中心に写真に収まる巨人投手陣
監督が編成の全権を任されていたからこそ
そして世間をアッと言わせたのが9月8日に発表された澤村拓一投手と香月一也内野手の交換トレードだった。
「彼にとってもプラスになると判断した。ウイン、ウインになると思えば決断に躊躇はなかったよ」
原監督がこう語る通りに、話が持ち上がってから1週間程度のスピードでまとまったという。
今までならかなり難しかったかもしれないが、監督が編成の全権を任されていたことがプラスに出た例だった。
「勝つ組織を作っていく上で最大の障害は固定観念。こういうときにはこういうものだと決めつけるのではなく、もっと柔軟に大胆にあらゆる局面に対処していくこと。そういう旧来の常識に囚われない、幅広い思考が大事だと思う」
原監督のこの信条が、全権監督として編成面でも生きた勝利でもあった。
馬車馬の如く働いた中継ぎ投手の名は?
【馬車馬の如く働いた中継ぎ投手】
もちろん今年の優勝を語る上で、真っ先に名前を上げなければならないのはエースの菅野智之投手であることに、誰も異論はないだろう。
また前半戦の快進撃の立役者である戸郷翔征投手にルビー・デラロサ投手が離脱した際にはクローザーも難なくこなした中川皓太投手の存在も大きい。
そして中継ぎ陣では移籍直後から大車輪の活躍を見せた高梨、またサイドスローにフォームを変えてブレークした若手の大江竜聖投手の左腕コンビの貢献度も高かった。
だが、その中でそれほど派手に目立ちはしなかったが、馬車馬の如く働いた中継ぎ投手の名前を忘れてはならないだろう。
鍵谷陽平投手だ。