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巨人、2連覇「3つの核心」 原采配の妙、澤村トレードの真相、馬車馬のように働いた“あの投手”
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/10/31 11:03
セ・リーグ連覇を達成し、エース・菅野を中心に写真に収まる巨人投手陣
巨人の3、4番が揃って打線から消えた
岡本が休んだ9月16、17日の2試合は坂本も体調不良で欠場。巨人の3、4番が揃って打線から消えるという事態も起きている。
「彼らの姿を楽しみにテレビで応援をしてくれているファンがいるのは分かっていた。出ようと思えば2人とも出られるぐらいの状態だったかもしれない。
それでも、今年は絶対にムリはさせないと決めている。ファンには申し訳ないが、2人を休ませることは、シーズンを戦いきることを最優先して決断した」
怪我だけでなく、新型コロナウイルスへの感染対策にも細心の注意を払ってきた。もちろん故障者が皆無というわけにはいかなかった。それでも増田の登板に象徴されるように、戦力ダウンを最小に抑えるチームマネジメントをできたことが、コロナ禍の中のシーズンでチームを優勝へと導く土台となったのである。
シーズン中のトレード6件中4件が巨人がらみ
【編成の勝利】
コロナ禍の中で、もう1つ大事だったのは、しっかりした危機管理で戦力補充を行なってきたことだったろう。
両リーグを通じて今季中に成立したトレードは全部で6件あった。そのうちの4件が巨人がらみというのは、いささか異常事態と言ってもよかったかもしれない。
開幕からわずか10日後の6月29日に成立させたのが左腕・池田駿投手と楽天のゼラス・ウィーラー内野手の交換トレードだった。
そこから約2週間後の7月15日には若手の高田萌生投手を出して中継ぎ左腕の高梨雄平投手を獲得した。
いずれもコロナ禍の中で、どういう戦力状況になっても対応できるようにと成立させたトレードだった。
ウィーラーはコロナ特別ルールで外国人の登録制限が緩和されている中で、戦力的に不足していた大砲の補強が目的だった。高梨はチーム戦略として拡充を図っていたリリーフ陣のさらなる補強を狙ったもので、若い可能性ある選手を放出する決断をしたからこそ成立にこぎつけたトレードだった。