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ガンバ復権の旗頭・井手口陽介 今野泰幸のように奪い、遠藤保仁のように作るハイブリッドさ 

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/10/31 06:00

ガンバ復権の旗頭・井手口陽介 今野泰幸のように奪い、遠藤保仁のように作るハイブリッドさ<Number Web> photograph by J.LEAGUE

ハリルジャパン時には中心選手となった時期もある井手口陽介。ガンバで力を見せれば再び……という期待値も大きい

「軍犬」としてチーム戦術を遂行

 本来はパスを持ち味とする山本だが「陽介くんが前に行った時は、僕が後ろに引いてリスク管理をしています」と話すように、井手口が持ち前の機動力を発揮して、相手の攻撃の芽を摘みながら、攻撃にも関与。野に放たれた猟犬さながらに、ピッチを駆ける井手口の走行距離は毎試合、チーム屈指のデータを残している。

 そんな井手口が新境地を見せたのが柏レイソル戦のプレーだった。


 走行距離11.7キロは両チームを通じて最長だったが、スプリント回数は井手口らしからぬ11回にとどまった。しかし、この試合で井手口に課されていたのはバイタルエリアのケアと、相手のキーマン、江坂任を封じることだった。

 野性味溢れるプレーが持ち味の猟犬は、この日、規律に従う「軍犬」としてチーム戦術を忠実に遂行したのだ。

11回のスプリントに秘めた貢献度

 もっとも、11回のスプリントには、今季随所で見せ始めている攻撃面での貢献度も含まれている。

 1試合平均のインターセプト数もリーグ3位の井手口は、相手にボールを握られる時間帯が続いた柏レイソル戦の後半、自らのボール奪取を攻撃へのスイッチにつなげていた。

 後半だけで実に4度、カウンターの起点になった彼がとりわけ驚異的なのは、必ず相手ゴール前まで顔を出し、攻撃に厚みをもたらしている点だ。

 ガンバ大阪のジュニアユースとユースではそれぞれ背番号10を託されていた紛れもない技巧派だが、今季はロングパスや前方でのパスワークにも巧みに絡み、単なるハードワーカーでない一面も見せている。

 宮本監督も言う。

「陽介らしい、中盤のダイナモのような動きがたくさん見られますけど、インサイドハーフでも、川崎戦のようにアンカーでもいい仕事をしてくれているなと思って見ています」

【次ページ】 ヤット、二川も指揮官の哲学を体現

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