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ガンバ復権の旗頭・井手口陽介 今野泰幸のように奪い、遠藤保仁のように作るハイブリッドさ
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/10/31 06:00
ハリルジャパン時には中心選手となった時期もある井手口陽介。ガンバで力を見せれば再び……という期待値も大きい
ヤット、二川も指揮官の哲学を体現
強かったガンバ大阪にはいつも、指揮官の哲学をピッチ上で体現するMFが中盤に君臨していた。
西野朗監督が作り上げた魅惑の攻撃サッカーには二川孝広(現FCティアモ枚方)が不可欠だったし、長谷川健太監督が「ポジション名はヤット」とさえ評し、単なるボランチの枠組みを超えた働きを見せたのは遠藤保仁(現ジュビロ磐田)だった。
そして今、「奪ってから速く」を標榜する宮本ガンバのスタイルを支えるのが井手口である。
今も、口数は決して多くはないが、口下手だったルーキー当時と異なり、取材で問われたことに対しては明確な思いを語る24歳。チームの中心選手であることの自覚は、その背番号が物語る。
背番号15を選んだのにはワケがある
昨年8月、失敗だった欧州での挑戦に一旦ピリオドを打ち、ガンバ大阪への復帰を決断した井手口が背番号15を選んだのにはわけがある。
「コン(今野)さんが長年つけて来た背番号やし、ああいうもの凄い選手の後を継げるのはいいかなって思って、15番をつけました」(井手口)
7月にガンバ大阪を離れジュビロ磐田を新天地に選んだ今野泰幸の番号をあえて選んだわけだが、飛び級でトップ昇格した2014年当時、ボランチでコンビを組んでいた遠藤と今野は超えたくても超えられない高すぎる壁だった。