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涙の始球式「心の170kmは出せた」野球芸人ティモンディが語る上甲野球100カ条と池袋のマクドナルド
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/10/26 11:04
収録後にもかかわらず、いつものボリュームで取材に応じてくれたティモンディの2人。始球式の涙を表現した高岸(右)に相方・前田は苦笑い
上甲監督の教えはいまも
甲子園での夢は叶わなかったが、それでも2人は上甲監督の教えがティモンディの原点に繋がっていると話す。
「監督さんがよく話していたのは『念ずれば花ひらく』と『夢叶うまで挑戦』という言葉。どんな時でも自分たちはできるんだと前向きに戦うこと、挑戦していくことの大切さを教わりました。始球式もコンビ結成の時に誓った目標の1つでした!」(高岸)
ちなみに高岸がたびたび口にする「やればできる」は済美高校の校訓であり、校歌にも入っている言葉だそうだ。掃除の時間に必ず流れる校歌。教室にある黒板の上にも「やればできる」の文字。高岸がなぜ連呼するのか、少しだけわかった気がする。
前田は上甲監督からもらった言葉を教えてくれた。
「今でも染み付いているという意味では『物を大切にしろ』という教えですかね。例えばバットは地面に置いてはいけない、とか。置いてなくても、バットのヘッドが地面につくだけでNG。ヘッドで線を引くなんてもっての外。監督さんは明徳義塾高校の馬淵(史郎)監督と交流があり、済美の野球部ができる時に道具をいただいていたこともあって、細かい部分まで厳しかったですね。今でも草野球をしていてバットがグラウンドに置いてあるとつい反応しちゃいます(笑)」
愛媛のみかんと瀬戸内海の青
高校球児の大切な道具がバットなら、お笑い芸人にとってのそれは衣装だろうか。コンビ結成当初は好きな服装で舞台に立っていたが、心を入れ替える出来事があった。
「3年前ぐらいにサンドさん(サンドウィッチマン)の単独ツアーで前説をやらせてもらったんです。劇場はパンパンで、サンドさんが登場するとワーっと沸くんですよ。当時の僕らはお客さんが2人とかが当たり前でしたから、芸能界の第一線を走っている人の世界を垣間見せてもらいました。だから、サンドさんのようにちゃんとスーツ買おうと(笑)。赤スーツはカズレーザーさん(メイプル超合金)がいたので元気が出そうなビタミンカラーのオレンジを高岸が選んで、僕は色彩学的に対になる青を。保護しあうという意味で」(前田)
愛媛のみかんと瀬戸内海の青。「それは後付け」と笑うが、この“道具”を一生大事にすると誓った。