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大迫勇也との比較は「気にしなくなった」鈴木武蔵が明かす代表での課題、旧友・南野拓実の凄みとは?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byGetty Images
posted2020/10/21 17:01
コートジボワール戦でスタメン出場を果たした鈴木武蔵。代表で得た刺激をベルギーでのプレーに生かす
エース大迫との比較「気にしなくなった」
しかし、試合後の国内メディアを見ると、筆者が感じる以上に評価が低かった。鈴木はポジションを争う大迫勇也と比較されることが多く、事実この試合で大迫のようなポストプレーが出来なかったことを指摘するものが多かった。その声は当然、鈴木の耳に届いていた。
「もちろんポストプレーをしないというわけではない。でも、大迫選手のプレースタイルを真似しようとは思っていません。(ポストプレーは)状況によっては必要だし、そこの質は上げたいと思ってますが、そこに固執し過ぎては自分の良さが消えてしまう。それに昨年に比べるとそういった論調は気にならなくなりましたね。他の人に何を言われようと、僕は選ばれて代表に来ているわけなので」
少し意地悪な言い方をすると「昨年は気にしていた」ということになる。昨年3月に初めて日本代表に選ばれてからコンスタントに招集され続けているが、なかなかゴールを奪えず、エースである大迫と比べられる機会が増えていた。
代表で感じた海外組の強さ
「当時は少し周りの声に引っ張られていました。ピッチに立ってもいろいろ考えすぎてしまって持ち味を出せない時期もありましたね。ただ、そこで感じたのが日本代表のエンブレムの重みと、大迫選手のような海外組のメンタルの強さだったんです。海外組の選手たちは『俺はこう思うから、こう動いてくれ』という発信力がある。自分も含めてJリーグでプレーする選手たちは『チームプレーありきの自分』という考えが先行していて、それが代表にJリーグの選手が少ない理由だと思ったんです。外国籍の選手として、自分の主張をいかに味方に伝えられるかを常に考えている。その根本が海外でプレーする選手たちは強いなと、代表で感じたんです。
実際にベルギーに来て、まだ1カ月ちょっとですが、最初はチームメイトから認められていないなと感じたし、僕がスタメン起用された試合の後も、わざと僕に聞こえる声で『絶対に昨季のメンバーの方がいい。そっちの方が絶対に勝てる。新しい選手、誰もよくない』と言われました。それを聞いてめちゃくちゃ悔しくて、逆に『結果で黙らせてやる』と火がついたんです。そういう時間を経て今回の代表活動に参加できたので、雑音に引っ張られなくなりました」