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鈴木武蔵がベルギー移籍後に語ったコンサドーレ愛「引退したら北海道に住むんじゃないかな」
posted2020/10/21 17:02
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
前編『大迫勇也との比較は「気にしなくなった」鈴木武蔵が明かす代表での課題、旧友・南野拓実の凄みとは?』へ(外部サイトでご覧の方は最下部の関連リンクからご覧ください)
コロナ禍が少し落ち着いた夏、鈴木武蔵は海を渡る決断を下した。
ベルギー1部・ベールスホットからオファーが来たのは8月8日。J1第9節の清水エスパルス戦の後だった。肉離れによる離脱からの復帰戦となったこの試合でも出場4試合連続となる今季5ゴール目をマークするなど、好調を維持する中でそのオファーは舞い込んで来た。かねてから海外移籍を視野に入れていた鈴木は、すぐにクラブとの話し合いの席を設け、移籍を決めた。
「昨季コンサドーレに加入したときから、もし海外のチャンスがあったら行かせてほしいと伝えていたので、クラブはその約束を果たしてくれた。改めて凄くいいクラブだなと思いました」
在籍はわずか1年半。だが、鈴木にとって北海道は特別な場所になりつつあった。住みやすい環境、人の温かみなどに触れたことで「こんな居心地の良いところが日本にあったのか」と思うほど、愛着が湧いていた。
ミシャサッカーで得点力が開花
それはサッカーの面においても同じだ。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督のもと、鈴木の持ち味が存分に発揮され、得点力が開花。昨季はキャリアハイとなる13ゴールをマークした。コンサドーレの絶対的エースとなったことで日本代表にも定着することができた。
「北海道、コンサドーレというチームが本当に大好き。生活面は文句なしで、このまま住み続けたいと思える場所。でも、サッカーにおいてはコンサドーレというチームに凄く甘えているなとも感じていました。代表を経験してから僕のプレーは『ミシャさん(ペトロヴィッチ監督)ありき』で成り立っていたんだなと考えるようになったんです。
代表ではどこからボールが来るか分からない。誰がどのタイミングで顔を上げるかすら掴めなかった。コンサドーレだったら、福ちゃん(福森晃斗)が持ったらどこにボールが出てくるかわかるし、逆に言えばチームメイトのおかげで点を『取らせてもらっている』ということも感じていました。そう思えば思うほど、こんな居心地の良い場所にずっといていいのか、と自分に問いかける時間が増えました。
(原口)元気くんや(堂安)律など他の海外組の選手に話を聞くと、みんな口をそろえるのが『最初の半年はずっと日本に帰りたかった』ということ。でもその中で『絶対にここで帰ったらダメだし、負けたくない。その気持ちが成功に導いてくれる』とも話していた。それぞれが孤独や不安と闘っていたことを改めて知ったことで、やっぱりある程度ストレスを抱えてやっていかないと確実に成長はない、日本代表のレギュラーは奪えないと思ったんです」