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「勝負強さに欠ける」という視線を跳ね返し…桐生祥秀の「勝ち」へのこだわりとプロ意識
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2020/10/18 06:00
日本選手権優勝で2020年シーズンを終えた桐生。2~3週間完全なオフとする予定だ
東京五輪100mの代表は最大3枠
そうである以上、記録と成績で応えなければいけない。そんな自覚が芽生えた。
以前はトレーニングメニューに対して頑固な一面があったが、「プラスになるかもしれない」と一度は受け入れる姿勢が生まれたという。
また、新型コロナウイルスで自粛を余儀なくされる中、時間を無駄にすることなく、トレーニングや勉強に打ち込んだという。それらも、プロとしての自覚から生まれた変化だろう。
つまりは、プロアスリートとして、どうあるべきか、その追求が結びついた優勝だった。
とはいえ、群雄割拠の100mだ。安閑としているわけにはいかない。
東京五輪100mの代表は最大3枠。
代表になるには参加標準記録を突破していることが条件になるが、現時点での突破者はサニブラウン・アブデル・ハキーム、小池祐貴、そして桐生の3人。ただ、ケンブリッジ飛鳥や多田修平、また、長年主軸として活躍してきた山縣亮太らもいる。
標準記録を突破する選手がさらに現れるのは容易に想像できる。
それを知るからこそ、桐生はこう語っている。
「勝ち切れたことは大きいけれど、タイムは速くはないので、来年(の日本選手権)は速さと強さを兼ね備えて戻ってきたいです」
たしかな成果を実感しつつ、次を見据え、新たなシーズンへ備えようとしている。
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