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【独占】「マラドーナに怒りを覚えたままの選手もいるけどね」リネカーが語る“神の手”真相
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byGetty Images
posted2020/10/19 11:00
語り尽くされた感のあるマラドーナの“神の手”だが、相手側の視点としてリネカーが語ってくれた
彼ほど蹴られまくった選手はいない
――確かに。
L:彼ほど蹴られまくった選手は他にいなかっただろうに。僕みたいに、リンクアップもフィニッシュも基本的にワンタッチだったタイプとは違い、彼はドリブルのテクニックも抜群だったから、その分だけ相手に削られるターゲットにもなりやすかったことになる。
それに、当時の用具は現在とは比べ物にならないほど旧式で、ピッチのコンディションも理想的とは言えなかった。そういった条件をすべて考慮すると、ディエゴを超えるような選手なんて未来永劫に現れるはずがない。ずっと、そう思っていたよ。
今でこそ、トップレベルでのキャリアの長さやピッチ内外での素行の良さを含めて、(リオネル・)メッシが僅かの差で上回っていると思えるけどね。
ディエゴを責める気持ちになったことは
――アステカで、あの悪名高い「神の手」ゴールを決めた相手であっても、マラドーナという選手を眺める目にはフィルターがかからなかったということ?
L:真剣にディエゴを責める気持ちになったことは一度もない。同じように、(ハンドが見落とされて)ゴールが認められたケースは他に幾つもあるしね。
ティエリ・アンリの例(2009年11月のアイルランド戦でゴールラインを割りそうになったボールを手で止めてフランスの得点に繋げた)とか。ゴールライン際での出来事が見落とされたことなんて、サッカーの長い歴史を紐解けば何百回もあるはずさ。だから、(頭ではなく手でゴールを決めた)ディエゴを責めようと思ったことはないんだ。