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【独占】「マラドーナに怒りを覚えたままの選手もいるけどね」リネカーが語る“神の手”真相
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byGetty Images
posted2020/10/19 11:00
語り尽くされた感のあるマラドーナの“神の手”だが、相手側の視点としてリネカーが語ってくれた
ロッカールームは怒りの渦だったよ
――なるほど。
L:86年にアステカで準々決勝を戦ったチームメイトの中には、わだかまりが消えなくて、ディエゴ・マラドーナという選手に怒りを覚えたままの仲間もいるけどね。
自分の中に、そういった感情はない。ただし、アルゼンチン戦後のロッカールームは怒りの渦みたいな空間だったよ。
ボビー・ロブソン(当時代表監督)は、とにかく納得がいかない様子で、テリー・ブッチャー(CB)も激怒していたし、ピーター・シルトン(GK)も怒っていたな。目の前であんな形でネットを揺らされて、おちょくられた気持ちがあったのかもしれない。ブッチャーとシルトンは今でもディエゴを許せないだろう。僕のような気持ちには絶対になれないんじゃないかと思う。2人とも守備の選手だったわけだし……。
だけど、自分はそういう立場でも、タイプでもない。第一、その場で(手を使ったところを)目撃してもいないからね。おそらく、あの瞬間の僕は、主審に負けないぐらい視界が遮られている位置にいたんだ。それでもシルトンやブッチャーのリアクションを見て、何かあったことはすぐに理解できた。彼らのジェスチャーから、ハンドの反則があったんだろう、とね。
(後編は関連記事『【独占】「複雑なのさ、天才は」 マラドーナの5人抜きゴールをリネカーはどう見ていた?』からぜひご覧ください)
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