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早稲田大学の1年生が夢見るラグビーW杯 金の卵が手にするのはボールじゃなくて“ホイッスル”
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byWASEDA University
posted2020/10/08 17:00
早稲田大学ラグビー部の練習でアシスタントレフリーを務める古瀬(1年)。レフリーを経験して、ラグビーの奥深さに魅了された
「緊張してる?」って訊いたら「いいえ」って
そのレフリングを現場で見ていたプロフェッショナルがいる。
日本ラグビー協会の原田隆司さん。小学校教師からプロレフリーに転向した経歴を持つトップランナーで、現在は日本協会登録のレフリーを統括する立場だ。
「花園での試合前、古瀬くんに『緊張してる?』って訊いたら『いいえ』って(笑)。彼には自信があるし、試合でも高校3年生とは思えないほど落ち着いたマネジメントができていました。プレイヤーに巻き込まれたシーンがあったんですが、普通ならパニックになるところでも冷静でした。彼を育てるのは我々の責任だなと思いました」(原田さん)
レフリングが世界基準になれば……
レフリーの育成、技術向上は、確実に日本ラグビー界の発展につながる。
反則の少ない試合をマネジメントできるレフリーが増えれば、必然的に反則によるケガは減るはずだ。また、国内のレフリングが世界基準になれば、選手は世界基準のプレーを身体に染み込ませることができる。逆に世界との乖離があれば、いざ国際舞台で戦ったときに反則を犯してしまう。
国際舞台で活躍している日本人レフリーでは、16年に日本人で初めてスーパーラグビーのレフリーとなり、19年W杯でアシスタントレフリーを務めた久保修平氏がいる。過去には91年大会の八木宏器氏(線審)、95年大会の斎藤直樹氏(主審)、99年大会の岩下真一氏(線審)の3人がW杯の審判団に選ばれた。
若手に目を向けると、A・A1級レフリーでは最年少の27歳で、19年W杯にアシスタントレフリー・リザーブとして参加した川原佑レフリー、女子ではパイオニア的存在の高橋真弓レフリーらがいる。