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勝ち点を50%増やす男 森保ジャパンの申し子、遠藤航の「強さ」が分かるドイツの“2つの指標”
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2020/10/07 11:00
ブンデスリーガ1部昇格を果たした遠藤航は森保一監督の申し子と呼べるかもしれない
遠藤を起用しなかった監督は批判され
遠藤は昨年8月13日にベルギーのシント・トロイデンから、ドイツ2部のシュツットガルトへ移籍した。ただ、この時点で2部リーグはすでに開幕して2試合を終えたところだった。すでにチームの構想は出来上がっており、練習でも右サイドバックや右のサイドハーフのようなポジションで起用されることも少なくなかった。シュツットガルトに移籍してから出場機会が与えられたのはわずか1試合、それも後半のアディショナルタイムからの数分間だけだった。
しかし昨年11月の代表ウィークでは1試合で切り上げてシュツットガルトに戻ったため、翌週の試合にむけた練習に最初から参加することができた。さらに、遠藤の努力を見ていたチームのレジェンドであるマリオ・ゴメス(昨シーズン限りで引退)も監督に起用を進言したという。
そして直後のカールスルーエとのダービーでは、中盤のアンカーの位置で初先発して3-0で勝利に貢献。相手のロングボールを跳ね返し続けてチーム内外から絶賛された。
当時のティム・バルター監督は好パフォーマンスを披露した遠藤をそれまで起用しなかったことを批判され、「それまではエンドウを試す機会がなかったんだ」と釈明に追われることになった。
その機会を作ったのは森保監督であり、その機会で選手としての価値を証明したのが遠藤だった。
選手が成長する舞台は代表ではなく、所属クラブ
そこからの遠藤は、出場停止の1試合をのぞきシュツットガルトの先発の座は一度も譲らずに1部昇格に貢献。ウインターブレイク中には監督が交代したが、そこで評価をさらに上げ、最終的にはドイツサッカー界の権威である『キッカー』誌による2部のベストイレブンに選ばれた。
森保が代表チームにもたらした取り組みで、最も大きな成果を挙げたのが遠藤なのだ。
当の森保監督は先日の会見で、代表チームのレベルアップについてこう語っていた。
「(およそ11カ月)チーム活動ができなかったのは代表監督として残念な部分もありますが、選手が日常で所属クラブにおいてレベルアップ、そして存在価値を高めていくということが日本代表の戦力アップ、存在価値を高めていくことになっていくと思います」
選手が成長する舞台は代表ではなく、所属クラブの活動だという監督の主張は正しい。
だから、ブンデスリーガの2部から1部へと戦いの場を移した遠藤が、どれだけやれるのかは森保監督率いるチームの行方を左右するものとなっていたのだ。