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勝ち点を50%増やす男 森保ジャパンの申し子、遠藤航の「強さ」が分かるドイツの“2つの指標”
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2020/10/07 11:00
ブンデスリーガ1部昇格を果たした遠藤航は森保一監督の申し子と呼べるかもしれない
行くか迷うところで、ボールを奪い切る
遠藤は今季のブンデスリーガ開幕直前、堂安律とともに参加した『スカパー!』のメディア取材会で、攻撃から守備に切り替わったときの自身の役割について、こう語っていた。
「ブンデス2部でプレーするようになって変わった部分は、行くか、行かないか、迷いそうなところでも、しっかりとアプローチをかけて相手からボールを奪い切ること。そこを結構意識してやっていました。それを引き続き、ブンデス1部の舞台でもやれるかどうか。(ボールホルダーへ激しくプレスをかけるために)入れ替わられてしまうシーンもあるかもしれないですけど、できるだけ前向きに守備をしていけるように意識したいなと思っているし。もちろんアプローチするスピードは、これまでよりもう一段上げていかないと、ブンデス1部では奪いきれないのかなというイメージは持っていますけどね」
遠藤は代表チームの舵取り役に
3試合が終わった時点で、遠藤はリーグ全体を見ても2つの指標で特筆すべき数字を残している。
それも、ドイツで最も重視されるデュエルを意味する「ツバイ・カンプフ」の成績で。
ツバイ・カンプフ勝利数:44回。リーグ2位タイ(第2節終了時では首位タイ)
空中戦のツバイ・カンプフ勝率:73.7%。リーグ全体で首位
第3節で勝利数が減って、空中戦の勝率が上がったのには理由がある。第2節ではボランチでフル出場して守備では相手の芽を摘んでいたのだが、第3節では第1節と同様に、試合途中にポジションを変更。途中からは最終ラインのリベロを任され、相手の攻撃を跳ね返す役割が増えたからだ。
この数字とドイツサッカー界は切っても切り離せない。試合のデータを載せるときには支配率やシュート数と並んでツバイカンプフの数値が並ぶほどだ。10月3日のレバークーゼン戦では1-1の引き分けながら、1部に昇格してから初めて『キッカー』誌のベストイレブンに選ばれたのも一対一の場面で身体を張れる選手だというお墨付きを得たからだろう。
遠藤は「所属クラブにおいてのレベルアップ」という森保監督が求めるものを、最も高い次元で体現している選手の1人だ。
だからこそ、遠藤は森保監督が指揮する代表チームの舵取り役として重要な存在になっている。