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勝ち点を50%増やす男  森保ジャパンの申し子、遠藤航の「強さ」が分かるドイツの“2つの指標” 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2020/10/07 11:00

勝ち点を50%増やす男  森保ジャパンの申し子、遠藤航の「強さ」が分かるドイツの“2つの指標”<Number Web> photograph by Getty Images

ブンデスリーガ1部昇格を果たした遠藤航は森保一監督の申し子と呼べるかもしれない

森保監督が具体的な戦術より重視するのは

 森保監督はピッチの上での細かい約束事はあまり作らない。ピッチ上での戦いについても、どちらかといえば心構えなどを説く。今月の代表メンバーを発表する記者会見で改めてチームのコンセプトをたずねたところ、このような答えが返ってきた。

「基本的なコンセプトは、アグレッシブに戦い、勝利を目指すこと。それと、攻撃的とか守備的だとかということではなくて、攻撃も守備も積極的に戦いながら、バランスの取れた戦い方をするということと……。我々が思い描いたような形で試合は進まないことが多いと思いますので、その中で臨機応変に対応しながら、勝利をつかみ取るという戦いができればなという風に思っています」

 森保監督は、具体的な戦術よりも、マインドセットを大切にしている。

 そんな指揮官が日本代表にもたらしたもので最も“オリジナリティー”にあふれているのは、何だろうか。

最高のメンバーにはこだわらない?

 一見すると、若い選手を数多く抜擢したことになりそうだが、そうではない。

 ロシアW杯のメンバーが発表された当時は「おじさんジャパン」と揶揄されたように経験あるベテラン選手が多かったため、大会後にどんな監督が就任していたとしても若手を大量に招集していたはずだ。

 実際、ブラジルW杯後に代表引退を表明した選手は1人もいなかったが、ロシアW杯後は違った。「次のW杯を目指さない」という独特の表現をした酒井高徳を含め、3選手が代表から離れることを決意したくらいだった。

 森保が就任してからの最大の変化は、公式戦を除き最高の選手をそろえることに固執しなくなったことだ。過去の監督と一線を画している。

 象徴的だったのは、昨年11月の代表戦のメンバーの選定方法だった。当時のスケジュールは以下の通りだった。

14日:W杯アジア2次予選のキルギス戦。キルギスで開催。

19日:親善試合のベネズエラ戦。大阪で開催。

 所属クラブでの出場試合数やポジション争いの状況などが考慮され、キルギス戦だけに参加してそこからは代表を離れてヨーロッパの所属クラブに戻ることを許された選手が9人もいた。

 そのうちの1人が、当時は厳しい状況に置かれていた遠藤だった。

【次ページ】 遠藤を起用しなかった監督は批判され

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