酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
星稜OB監督の「脱エリート/自分で考える野球/髪型自由」 大阪で指導法を変えたワケ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2020/10/05 11:00
大阪学芸高校の監督を務める小笹拓。星稜OBという肩書がある中で、新たな指導スタイルを実践している
代替大会は3年生主体で臨んだ
今夏開催された大阪府の代替大会には、3年生主体で臨んだ。
「3年生は45人いました。これをベンチ入りの30人にする必要があった。夏の甲子園がなくなった段階で勉強にシフトした子たちは“選考メンバーに入れてくれなくて大丈夫です”と言ったので、その子たちをまず外して、残りの子らで選考しました。
ベンチ入りした30人は、全部出すつもりでしたが、この大会でベスト8まで行った信太高校に当たって3-6で初戦敗退しました。
この代は結構力があると思っていましたし、本人たちも自信があったので落ち込んでいました。それでも“実戦も少なかったし、いい投手に当たってしまったらこれはもう仕方がない。相手の投手をほめてあげよう”と言いました」
髪型よりも選手たちの表情を見るべき
9年間の指導者生活を通じて、小笹拓は明確なポリシーを抱くようになった。
「うちの野球部は“丸坊主”をやめています。髪型は自由です。聞けば、他校の女子バレーボールではいまだに髪の毛を短く切っているチームがあるそうです。顧問は『髪の毛を伸ばしているのはチャラく見える。そんなチームに負けたら恥ずかしいからうちは短くしている』と理由を説明しているそうです。
選手がショートが好きでそうしているのならいいのですが……世界で強いチーム、例えばイタリアでもブラジルでも選手が女性らしさをすごく大事にしていますし、髪の毛が長い選手はたくさんいます。
それよりも、指導者は選手の表情をしっかり見てほしい。選手ファースト、リスペクトが足りていない部活は多いと感じています。子供たちへのリスペクトは忘れてほしくないですね」