酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
星稜OB監督の「脱エリート/自分で考える野球/髪型自由」 大阪で指導法を変えたワケ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2020/10/05 11:00
大阪学芸高校の監督を務める小笹拓。星稜OBという肩書がある中で、新たな指導スタイルを実践している
課題を選手と共有しながら練習を決める
そこで、就任2年目の途中くらいから、指導方針を改めた。
「最初は“先生は何も言わないから、君らが野球を楽しむつもりでやってみてよ”と言いました。練習内容も子供たちの考えを取り入れて変えました。非効率なシートノックをやめて、各ポジションに分かれてゴロを転がすとか、外野はボールを投げあったりする。
また“今日はこういう風なプレーの練習をやります”などテーマをもって選手がやりたい練習をするようにしました。
そして“チームの課題は何なのか”“どういうプレーをできるようになりたいのか”を選手と共有しながら練習内容を決めています。練習試合も“この部分は頑張らないといけないよね”など、子供たちの反応や反省を踏まえて組むようにしています」
「顧問やスタッフを増やさない限りは」
私学は、たくさんの野球部員を抱え込む傾向にあるが、小笹監督は部員数にも考え方がある。
「今は1年生が18人、2年19人、3年生は45人です。多い時にはトータルで100人近くになることもありました。100人の部員は、自分の指導力を越えていると感じます。一挙に見るのは不可能です。よほど優秀なスタッフが5、6人は必要でしょう。
部員数が多い時は、1人ひとりにかける時間はほとんどないので“かわいそうやな”と感じてました。人数が多いのは、何より子供たちのためになりません。私学の経営としては、部員数が多い方が良いのでしょうが、最近は学校側には“あまり選手をとりませんよ”という雰囲気を出しています(笑)。
野球部の顧問やスタッフの人数をしっかり増やさない限りは、選手にも野球部にもプラスにならない。選手ファーストで考えるべきでしょう」