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箱根駅伝まで3カ月 「走る量は6割に減ってしまった」早大競走部は“合宿NGの夏”にどんな練習をした? 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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posted2020/09/28 17:30

箱根駅伝まで3カ月 「走る量は6割に減ってしまった」早大競走部は“合宿NGの夏”にどんな練習をした?<Number Web> photograph by Satoshi Wada

8月中は夏合宿が行えなかったため、所沢キャンパス内での練習が中心になった早稲田大学競走部

 とはいえ、参加するには参加標準記録(1500m:3分48秒00、5000m:13分55秒00、10000m:28分40秒00)を破らなければならなかった。中谷はすでに記録を突破していたが、応募要項が発表された時点では、千明はまだクリアしていなかった。だが、7月26日の早大競技会で13分54秒18をマークし、ギリギリで突破する執念を見せた。

「うちのチームのスローガンは“早稲田から世界に行こう”。世界と戦う意識を持っている現役選手と一緒に練習できるのは、すごいいい経験、財産になるなと思いました。2人とも、もともとかなり意識は高いのですが、競技に対する姿勢が変わったなと感じました。彼らは、これまでも自分なりの精一杯でやってきたし、そういう意識もあったと思うんです。けど、いざ大迫と一緒にトレーニングをしてみたときに、まだまだ自分たちは甘かったんだなっていうのを痛感したんだと思います。1つ1つの言動を見ていて、大きくなって帰ってきたなと思いました」

 日本インカレは、中谷が10000m16位、千明は5000mを欠場したが、練習は継続できており、秋冬には調子を上げてくるはずだ。全日本大学駅伝、箱根駅伝ともに3位以内を掲げるチームにとって、中心選手のこの2人が命運を握っていると言っていい。

急転「合宿OK」

 そして9月に入って事態は急転した。大学に申請した上で、それが認められれば、合宿を行ってもよいという通達があったのだ。

 そこで急遽、日本インカレが終わった翌日の14日から1週間、Aチームは峰の原高原で、Bチームは妙高高原で合宿を行うことになった。

「この夏は、走行距離が減ったのもそうだけど、アップダウンが走り足りないなとも感じたので、クロスカントリーコースを走り込もうと思いました。スタミナ強化が後手に回ったのは間違いないのですが、出雲駅伝がなくなった分、10月、11月と距離を延ばしていけるように、準備ができたらいいなと思っています」(相楽監督)

 例年であれば、過去の練習データと比較しながら、チーム力を測ることができたが、今季に関しては比較対象がないので未知数だ。ただ、悪戦苦闘の夏を送ったのは事実だが、「目標は変えるつもりはない」ときっぱりと言い切る相楽監督の口調には力強さを感じた。

 コロナとそれへの大学側の対応に揺れた2020年夏。案外、駅伝シーズンが始まってみれば、周囲の心配は杞憂に終わるかもしれない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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中谷雄飛
早稲田大学

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