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帝京大学駅伝部、ナゾの“はっぴ組”とは? 「布団の上げ下ろし、食事の配膳もする」“バイト”ランナー

posted2020/09/17 17:00

 
帝京大学駅伝部、ナゾの“はっぴ組”とは? 「布団の上げ下ろし、食事の配膳もする」“バイト”ランナー<Number Web> photograph by Satoshi Wada

8月下旬、群馬・万座高原で合宿を行った帝京大学駅伝競走部。今年は箱根駅伝で3位以内を狙っていく

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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 今や大学駅伝の強豪チームに数えられる帝京大には、“はっぴ組”と呼ばれるマル秘の育成組が存在している。帝京大といえば、大学駅伝界では“育成のチーム”の代表格だが、その下支えとなっているのが“はっぴ組”と言っても過言ではない。

 帝京大は、毎年夏に標高1800~2000mの群馬県・万座高原で合宿を行うのが、中野孝行監督が就任して以来の恒例となっている。

 練習で陸上トラックを使うには車で片道40分の山道を往復しなければならないため、夏合宿の地として決して利便性があるわけではない(実際に、帝京大の他に万座で合宿しているチームはほとんどない)。だが、標高が高い上に平坦な道はほとんどないので、起伏の激しいロードで走り込んだ選手たちは秋に見違えるほどたくましさを増す。

“はっぴ組”の名前の由来とは?

 この万座合宿は約20人の選抜合宿として行われているが、その選抜メンバー以外にも、数人に合宿への帯同が許されている。それが“はっぴ組”だ。

 選抜メンバーに選ばれるほどの力がなくても、中野監督が将来性を見込んだ選手、気になっている選手、故障上がりの選手などが“はっぴ組”として万座合宿に参加する。もちろん選抜メンバーと全く同じ待遇というわけではない。

 そもそも“はっぴ組”と呼ばれる所以でもあるのだが、彼らは万座亭という温泉旅館でアルバイトをしながら、合宿に参加することになる。その際にはっぴを着て、布団の上げ下ろしや食事の配膳などの業務に当たることから、万座亭の従業員の間で“はっぴ組”と呼ばれているのだ(実は、中野監督も、最近まで彼らが“はっぴ組”と呼ばれているのを知らなかったのだが…)。

昨年の”はっぴ組”。山根昂希(右端)も今季の主力の1人。(写真提供:中野孝行監督)

ものすごくハードなはっぴ組の1日

 “はっぴ組”の1日のスケジュールは、ものすごくハードだ。就寝時間が遅いため、起床時間は選抜組よりも少し遅いが、朝練習をした後、午前中は旅館で業務に従事。それから、昼食、昼休みを挟んで午後練習があり、練習後には休む間もなく夜まで再び業務に当たる。そして、夜9時30分頃に他の従業員と夕食をとると、そのまま就寝時間を迎える。選抜合宿の本隊とは起床時間も就寝時間も異なり、練習も、選抜組が3部練習なのに対して、“はっぴ組”は2部練習となる。それでも、旅館の業務自体がハードなので、高所で常に体を動かしているだけでハードなトレーニング代わりになっているのだという。

「“はっぴ組”が、今度は選抜メンバーとして万座に帰ってきてくれるのがうれしい」

 万座亭の若女将が言うように、“はっぴ組”から主力に成りあがった選手は多い。

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帝京大学
中野孝行

陸上の前後のコラム

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