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大抜擢! 新4番・ロッテ安田尚憲の本音「まだまだ『4番を打たせてもらっている』というか…」
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2020/09/26 09:00
同点ソロを放ち、笑顔で迎えられるロッテ・安田尚憲
守って、走るまでができてこそ一流の内野手
「特に守備ですね。あっちの内野手はすごく動きが柔らかいと感じましたし、その中でスローイングの良さなども肌で感じることができました。それをプエルトリコのコーチにも教えてもらいました」
安田の持ち味――。それは打球の速さと、遠くへ飛ばす非凡なバッティング技術だ。しかし、中南米の力強い打撃に心を奪われるのではなく、守備面に意識が向く。帰国後も鳥越裕介一軍ヘッド兼内野守備走塁コーチの指導の下、打撃練習と同じくらいの熱量を守備練習に注いでいる。
打つだけじゃない。守って、走るまでができてこそ一流の内野手。その3つを忘れないところに、彼の野球観が表れている。
技術を支えるのは、人一倍の時間を費やす練習量にある。
「不安をなくすために納得して一日を終わりたい」
昨年はチーム方針で居残り練習が多少セーブされるときもあったが、本来、彼は自分が納得を行くまでバットを振りたいタイプ。ロッテ浦和の室内に居残っていないと不自然に感じるような選手だった。
「練習は試合で不安をなくすためのものです。納得した上で試合に向かわないと不安になりますから。試合後の自主練習は特にそういう部分が大きいです。自分の自信の度合いを高める、不安をなくすために納得して一日を終わりたい。そういう感じでいつもやっています」
練習量と結果がイコールではないことを、彼はもちろん知っている。間違った理論、間違った努力を続ければ、平気で練習は人を裏切るし、だからこそ彼は自分自身と向き合う時間を多く作り、誰よりも自分自身を理解しようと心がけている。
「プロの世界が厳しいことは入る前から分かっていたことですけど、正直思っていたよりも、ものすごく厳しい世界で、結果が出るか出ないかのところで、自分が思うようにはいかないことが沢山ありました。どれだけ練習しても足りないものは次々と出てくる。それでもやっぱり諦めない気持ちというか、折れない気持ちが大切だなと思いました」