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大抜擢! 新4番・ロッテ安田尚憲の本音「まだまだ『4番を打たせてもらっている』というか…」
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2020/09/26 09:00
同点ソロを放ち、笑顔で迎えられるロッテ・安田尚憲
7月7日の埼玉西武戦では高橋光成のフォークボールを捉えて今季第1号。この一本が出たことで精神的にも落ち着いたと安田は話す。
「それまでは結果が出ていなくて、自分のスイングができていなかったので、『とにかくこの打席はリラックスしてボールにバットを当てる』ことだけをイメージして打席に入りました。それまでは打席で色々と考えすぎてしまって、なかなかシンプルに打席に立てていなかった。だから割り切ってシンプルに打席に立つようにしました」
「まだまだ『4番を打たせてもらっている』」
7月の月間打率は2割8分9厘、本塁打も3本打って、得点圏では3割3分3厘の高打率。OPS(出塁率と長打率を足し合わせた値)も7割8分1厘を叩き出し、ロッテのレギュラー陣の中ではマーティン、井上晴哉に続く3位の数字だった。これは彼が真の4番に近づいた証拠とも言える。
同級生ですでに堂々の4番打者として地位を確立した選手もいる。昨年プロ2年目にして36本塁打、96打点の成績を残した東京ヤクルトの村上宗隆だ。
「1年目は同じイースタンでプレーしていましたが、彼は2年目であれだけブレイクした。3年目もしっかり活躍していますし、その姿を見て刺激をもらっています。自分も負けられないなって思っています」
個人で競い合うつもりはない。だが、先を行く村上のような活躍をすれば、自ずとチームに還元ができると感じているのだ。
「まだまだ『4番を打たせてもらっている』というか、自分で奪い取ったポジションではないので、もっともっと結果を残していかないといけないと思います。今こうして大きな経験をさせてもらっていることで、日々成長できていると感じるところもあります。打てなくて悔しい日もたくさんあるんですけど、でも、ここを、この一年間を乗り切って、成長してチームの戦力になれるよう頑張りたい。5年後、10年後に今の経験を生かし切れるようにしたいと思っています」
夢見た未来はそれほど離れちゃいない。きちんと現状を見つめる彼のまなざしが、そう感じさせた。