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大抜擢! 新4番・ロッテ安田尚憲の本音「まだまだ『4番を打たせてもらっている』というか…」
posted2020/09/26 09:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
ただの偶然とは思えない。
千葉ロッテがプロ3年目、21歳の安田尚憲を4番に据えて以降、快進撃を続けている。
安田がプロ入り初の4番に座ったのが7月21日。そこから9月15日までの48試合で29勝17敗2分、6割以上の高い勝率を残している。
安田の個人成績だけを見ると、75試合、打率2割2分7厘、本塁打5、打点40と、一軍の4番としてはやや物足りなさを感じるかもしれない。しかし、2割7分3厘の得点圏打率が示すように、要所となる場面では勝負強さを発揮している。9月13日の対オリックス戦で初回に先制適時二塁打を放つなど3安打4打点の活躍をし、チームのカンフル剤として機能している。
たしかに今はまだ、期待値込みの4番抜擢であるかもしれない。それでも彼は自身が理想とする姿へ、一歩ずつ、着々と歩を進めているように見える。
プエルトリコから持ち帰ったもの
昨シーズンを終えた後、安田はプエルトリコに渡って、現地のウインターリーグに参加した。プライベートでもメジャーリーグ中継を見るのが趣味とあって、自身初となる海外武者修行に渡航前は胸を躍らせていた。
「(プエルトリコでは)凄くいい経験をさせてもらいました。ラテン系の人達は凄く楽しそうに野球をしていて、楽しさの中でも、ときに熱く、ときに悔しさも露わにする。自分が好きだった野球を始めたとき、その原点に返ったような気持ちになれました。『野球って本当に楽しいんだな』と再確認ができました」
プエルトリコから持ち帰ったものは何か。彼が真っ先に口にしたのは、技術的なものよりも精神的なものだった。
「プエルトリコは選手みんなが鼓舞し合ってすごく熱く、チーム一丸となって戦っている感じを受けました。自分も今はサードというポジションを守らせてもらっていますが、チームを鼓舞できる選手になりたいなと思いながら常にプレーしています。そこは正直、まだまだな面もありますが、だからこそ今できることとして、声出しをしっかりすることや全力でプレーすることを心掛けています。プエルトリコで学んだことが、今、そうした面で生きているんじゃないかなと思います」
技術面でも、もちろん収穫はあった。