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大坂なおみに思い出す伊達公子の“箪笥” とは「記憶から試合中に引き出して」全米準決勝へ

posted2020/09/10 19:00

 
大坂なおみに思い出す伊達公子の“箪笥” とは「記憶から試合中に引き出して」全米準決勝へ<Number Web> photograph by AFLO

最後は、サービスキープのラブゲームで勝利を掴んだ大坂なおみ。

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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 9月8日。2年前のこの日、大坂なおみはこのアーサー・アッシュ・スタジアムで初めてグランドスラムの頂点に立った。同じ場所まであと2つと迫った大坂は少し恥ずかしそうに言う。

「前回、ここまで来たときの私はまだ赤ん坊みたいなものだった」

 ならば、この日、準々決勝を戦ったシェルビー・ロジャースとの過去の対戦は、母親のお腹の中での出来事、まさに小さな小さな命の始まりの頃の出来事である。そんな昔の勝負は何の参考にもならない。確かにそうだ。しかし大坂は、「あの時代に戦ったひとつひとつ、全ての試合の経験を今に生かしていきたい」と語った。

3回戦ってすべて「ストレート負け」だった

 ロジャースとの最初の対戦は、大坂がプロツアー参戦2年目の15歳のときだった。2013年の7月。レキシントンの5万ドルのハードコートで、当時まだ世界ランク500位台だった大坂は予選3試合と本戦の1回戦を突破したが、2回戦で当時143位のロジャースに2-6、2-6と完敗した。

 2度目は2年後、2015年4月のフロリダの5万ドルのクレー。ランキングは200位台前半に上がっていたが、やはり予選を勝ち上がって本戦2回戦で、このときはトップ100入りしていたロジャースに4-6、4-6で敗れた。

 そして最後が、さらに2年後の2017年。今度は大会の格が一気に上がって、WTAツアーのプレミアカテゴリーに属するチャールストン。52位のロジャースに対して大坂は49位とわずかながらすでに上回っていたが、4-6、2-6のストレート負けを喫した。

 プレースタイルを見る限り、大坂の苦手なタイプではあるのだろう。ムーンボールやタイミングをはずした緩いアングルショットなど、変化をつけてくるテニスだ。2016年の全仏オープンでベスト8に進出した実績があるが、2018年の序盤に左膝を痛め、手術を経て復帰できたのは13カ月後のことだった。

 大坂がここで優勝した頃はベッドの上だろうか。一時はランキングも失われたが、3年ぶりの出場となった全米オープンで準々決勝に勝ち上がってきた底力と闘志は、93位という今のランキングでは測れない。

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