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「なぜ球磨川は氾濫したのか?」
ランナーが問う現代土木の落とし穴。
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byYusuke Yoshida
posted2020/08/25 17:05
熊本豪雨で被害の大きかった八代市坂本地区で、ボランティア活動を続ける「チームドラゴン」の面々。
災害とスポーツの関係も変わる。
災害時のプロである土木関係者がスポーツマンたちに何か共有できることはあるのだろうか。田中准教授は期待を込めて、こんなことを話してくれた。
「トレイルランニングに地産地消スポーツとしての価値があるように、地域性のある持続可能性とクリエイティビティが高い土木を模索してみたいなと思います。コロナ禍において価値観が大きく変わり始めているこのタイミングは、災害とスポーツの有機的な関係を築いていく良い機会かもしれませんね」
毎年のように起きる想定外の災害を含め、私たちは自然とどう向き合っていくのか求められているのだろう。そして災害が起こってしまったとき、健全なスポーツの力が、より現場レベルで発揮されることが増えていくはずだ。
吉田さんたちの大会「やっちろドラゴントレイル」が行われるはずだった8月9日も、76名ものボランティアが集まり、坂本町の8拠点に分かれてチームドラゴンは活動を行なった。スポーツの持つ力が災害現場に新しい風を吹かせている。
(【前編】「道路がダメなら、山から行くぞ!」熊本豪雨で際立ったトレランの知恵。 を読む)