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「なぜ球磨川は氾濫したのか?」
ランナーが問う現代土木の落とし穴。
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byYusuke Yoshida
posted2020/08/25 17:05
熊本豪雨で被害の大きかった八代市坂本地区で、ボランティア活動を続ける「チームドラゴン」の面々。
ラガーマンたちの「筋肉が刺激されるぜ!」。
そしてボランティア活動を続けていた吉田さんに新しい仲間が加わる。ラガーマンたちだ。学生時代にラグビー部だった吉田さんがかつての仲間に声をかけた。
去年、ラグビーW杯の期間中に東日本を中心に台風被害に襲われたことがあった。いくつもの試合が中止された中で、各国の代表選手やスタッフたちが大会期間中にもかかわらず、被災地でボランティア活動を行った光景を覚えている人もいるだろう。
「「彼らは『ジムじゃ鍛えられない細かい筋肉が刺激されるぜ!(笑)』と場を和ますようなことを言っては、より困難な重労働に抜群の力を発揮していていました。自分もラグビーをしていたからわかるんですけど、仲間のために倒れては起き上がり、またタックルに向かう。ラガーマンの現場仕事の強さがうれしかったですね」
倒れてもすぐ次に向かう『One for all. All for one.』の精神が被災地でも活かされたということだろう。力仕事のラガーマンと持久力と機動力に長けたトレイルランナーが復旧作業でお互いの長所を発揮したのだ。
「私たちは今、より奥地へと歩みを進めています。重機が入るようになったのは災害から2週間近く経ってからですけど、まだまだ孤立状態に近い山間部があります。得意分野じゃないですけど、私たちだからできることがあると、そう思って独自の活動を続けています」
技術が進歩したのに災害が増えている?
現在も週末を中心にボランティア活動を続ける吉田さんたち「チームドラゴン」。だが、吉田さんには疑問に思うことがあるという。
「間違いなくテクノロジーが進歩しているのに、自然災害が多くなっていますよね。温暖化の影響もあるのでしょうが、どうしてそれを防げないのか。人の手の入っていないトレイルが無傷だったことを皮肉だなぁと思う自分もいます」