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日本人選手を変えた厚底シューズ。
五輪前規制の衝撃と走者への影響。
posted2020/08/15 11:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kyodo News
7月28日、陸上界を揺るがすニュースが伝えられた。シューズに関する新たな規制の発表だ。
陸上では、主にマラソンにおいてシューズがクロースアップされてきた。いわゆる「厚底シューズ」問題だ。ナイキ製の厚底のシューズを履く選手たちが好記録を次々に生み出した。しかもそれはこれまでの「常識」を覆すほどだった。
そのため、厚底シューズの是非、規制の必要性などについて議論が繰り返された。その末に、今年1月31日、世界陸上競技連盟は新しい規定を発表。
ソールの厚さを40mm以内にすること、反発力を生み出すために用いられるソールの中のプレートを1枚までとすること、などのルールを設けたのだ。
止まらない厚底シューズへの流れ。
この規定により、一定の規制がかかることになった。ただ、ナイキの「ズームX ヴェイパーフライネクスト%」はその規定をクリアしており、また、2月上旬に発表された「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」も新規定をクリア。規定は、それらナイキのシューズへの承認を意味していた。
そうした新規定を経てなお、厚底シューズへの流れは止まらなかった。
象徴的だったのが、「ホクレン・ディスタンスチャレンジ」だ。北海道の各地を舞台に行われる中長距離を対象とした大会で、7月4日の士別大会を皮切りに、18日の千歳大会まで4つの大会が行なわれた。