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オカダ再び乱心。「KOPW」って何?
猪木と国際軍以来の1vs.3戦の思惑。 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2020/08/21 15:00

オカダ再び乱心。「KOPW」って何?猪木と国際軍以来の1vs.3戦の思惑。<Number Web> photograph by Essei Hara

高橋裕二郎との戦いは、1vs.3のスタイルとはいえ、まともな戦い方になるわけは無いと思うが……。

猪木が経験済みの1vs.3の無謀な戦い。

 オカダの個人タイトルだから……百歩譲って提唱者であるオカダにその運用の決定権は委ねるとして、新日本プロレスにおける「1vs.3」の試合と言えば、1982年11月にアントニオ猪木が“国際はぐれ軍団”、つまりラッシャー木村、アニマル浜口、寺西勇の3人と蔵前国技館で戦った時の試合が代表的だ。

 当時の猪木は「まとめて倒してやる」と、この史上初の“禁断の戦い”に挑んでみせたのである。

 もちろん、リング内で猪木と戦えるのは1人に限られた。そして、全員からフォールまたはギブアップを奪って初めて猪木が勝ちになる、という自分に非常に厳しいルールでもあった。周囲から無謀だとさんざん言われていた時の、猪木の姿を覚えている。周囲の人間は本気で「これだけはやってはいけない」と言っていたのである。それほど無謀な戦い方だった、ということだ。

 だが、猪木はこの1vs.3を決行した。

 レフェリーは山本小鉄、柴田勝久、栗栖正伸の3人を用意。

 試合では、寺西を逆十字、浜口を延髄斬りで倒してみせた猪木だったが、木村にはロープを足に引っかけられ宙づりにされてしまいリングアウト負けを喫してしまった。

 翌年2月、同所で再戦が行われた。猪木はまず木村をフォールして、寺西もコブラツイストに捕らえて破ったが、浜口には場外で反則を取られて敗北。結局このスタイルでの試合では一度も勝つことができなかった。

「猪木vs.国際はぐれ軍のルールとは違う」

 猪木の場合は、結果として1勝もできない無謀な戦い方として記録に残ったわけだが、オカダは、今のところ比較的自分に有利なルールを設定している。「猪木vs.国際はぐれ軍団のルールとは違う」とオカダは言っている。3人のうち1人からフォールを奪うだけで良し、ということらしい。

 この1vs.3の形式で発表済みのカードはオカダvs.高橋裕二郎だが、高橋側に付く邪道からでも外道からでもオカダがフォールを奪った時点で試合は終わる、というルールになっている。

 もちろん、その逆もあるから、その時は誰からフォールを奪われてもオカダの負けになる。ただ、「3人まとめてオカダを攻めてはいけない」と今の時点では決まっていないから……これだとオカダにまず勝ち目はないだろう。

【次ページ】 「ランバージャック」は面白くならない。

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