プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
オカダ再び乱心。「KOPW」って何?
猪木と国際軍以来の1vs.3戦の思惑。
posted2020/08/21 15:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
オカダ・カズチカはいったい何がやりたいんだ?
オカダは、7月11日大阪城ホールでのニュージャパンカップ決勝戦でEVILに敗れてIWGP奪還が遠のいたのに、それ以降もどういうわけか余裕ある態度を見せ続けていた。EVILに負けた時は、バレットクラブの乱入、とりわけ高橋裕二郎の投げをまともに食らってしまったことが最大の敗因だったのに、そんなイレギュラーな攻撃を受けて負けたことにも、とくだん憤慨するような態度を見せもしなかった。
そして何を思ったのか、8月29日に開催される神宮球場大会の内容を説明するオンライン会見(7月28日)に姿を見せたオカダは、「KOPW」なる新しいタイトルの新設を新日本プロレスの菅林直樹会長立会いの下に発表してのけたのである。
その前段階として、8月26日の後楽園ホールでそれぞれのルールで4試合を行い、29日の神宮球場では4人が同時にリングに上がって戦う4WAY形式での優勝決定戦を行い初代王者を決める、と言い放ちもした。
このタイトルは、ゆくゆくは「王座防衛戦」まで行うという継続的なものとして設定されているという。だが、オカダが提唱した新タイトル「KOPW」にはベルトがないのだ。トロフィーは作るらしいが……。
この「KOPW」 というタイトル名だが、何の略なのかの説明はオカダからない。だから筆者なりに勝手に想像してみたのだが……さすがに「King Of Pro-Wrestling」の略ではないだろう。「Knock Out Pro-Wrestling」でもないはず。ズバリ「Kazuchika Okada Pro-Wrestling」なのだと私は断言する。つまりこのタイトルは、オカダ・カズチカの冠がついた「個人タイトル」なのではないか、ということだ。
まだ若い現役のオカダがなぜ。
「モハメド・アリ・トロフィー」という大きなトロフィーがボクシング界にはある。プロレスにも「ルー・テーズ杯」や「カール・ゴッチ杯」などというのはあったが、個人の名のついたトーナメントやリーグ戦に本人が参加して戦うことはなかった。ましてや、オカダは現役のレスラーであって、まだ若いし、レジェンドでもない。
オカダは「ルールは試合ごとに決める。金網やラダーマッチがあってもいい」とまで言っていた。そんな無茶な説明をしながら、しかもオカダはずっと笑っていたのである。「(このタイトルは)新日本プロレスらしくない」と言ってみたり、様々なタイトルにまつわる「権利証」の存在に言及してみたり……その説明の間、終始ニヤニヤ笑っていたのだ。