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戸張捷が語る「観るゴルフ」の現状。
ツアーの権利と義務を見直す時代に。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2020/08/24 07:00

戸張捷が語る「観るゴルフ」の現状。ツアーの権利と義務を見直す時代に。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

キャスターとして多くの名場面をお茶の間に届けてきた戸張捷氏。現在、ゴルフ界が直面している問題に対し、率直に語った。

録画中継は「変だもん(笑)」

「本来のスポーツ中継はそうなるのが一番良いと思う。だって、(録画中継は)変だもん(笑)。でも、フジサンケイも大会が放送局主催で、理解を示しているからできる。スポーツ中継というのは何が起こるか分からない楽しさがあって、その面白さを放送局が買うのが放映権。だが、ゴルフは他の多くの大会で、テレビ局は『お金をもらえるなら放送します』という世界」

 6月末のアース・モンダミンカップではYouTubeで完全ライブ中継という方式を取ったが、「テレビで、ということになるとまったく話が違う。地上波はそこまでリスクを持てないのがテレビ局だと思う。ジャイアンツ戦だって地上波でほとんど放送しなくなった時代」と分析した。従来の放送形態と視聴者の欲、あるいは視聴者の層との間で溝が生まれているのは事実だ。

 ただし、選手に求められるのはコロナのビフォー・アフターに関わらず、不変のもの。

「(放送する側の)そのリスクを越える魅力的なコンテンツでなければならない。PGAツアーには成長過程でアーノルド・パーマーとジャック・ニクラスというスーパースターがいた。とくにパーマーは国民的なヒーロー。そして彼らのあと、タイガー・ウッズがいて今がある」

 ファンを興奮させる価値が担保されていなければ、どんな媒体を通じても業界に発展はない。

「ゴルフ自体の心配はしていない」

 戸張氏は今季、自身がプロデュースする大会においては「人気選手や最終組など、ギャラリーの方が多くつくところで“密”になる。それが原因で感染してしまうことが、今は好ましくない。だが、できる限り感染を防ぐ手立てを尽くしながら、人間が生活していくうえで必要な社会活動を動かしたい」と基本的には無観客での開催を目指している。

「トーナメントは皆の栄養剤。ゴルフのトーナメントの魅力はそう変わらないと思う。日本には数百万いるアマチュアゴルファーの楽しみ、プロに求める欲みたいなものは、(宮里)藍ちゃんや渋野といったスターが出ることだけでなく、自分たちにできないことをやってくれること。それに加えて、どんなスポーツ好きの人も、アスリートも巻き込める魅力がある。だからゴルフ自体の心配はしていない」

 コロナ禍で、これまで多くの人が視界から遠ざけていた、いくつかの問題点が顕在化した。解決の術はゴルフの魅力に立ち返り、トーナメントに込められた期待を、時代に即して整理するほかないかもしれない。

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