松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹がスーパーショット後に。
少年少女に渡したサインボール。
posted2018/08/27 17:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
米ツアーのプレーオフ第1戦、ノーザントラストに挑み、15位タイに食い込んだ松山英樹。彼が過ごした4日間はバラエティに富んでいた。
初日は4アンダー、67で回り、首位と1打差の5位タイで発進。「良かったです」と和らいだ表情を見せた。
2日目は2オーバー、73とスコアを落とし、一気に44位タイへ後退。しかし、順位が落ちたことより、「予選を通れてよかった」と、心底ほっとした様子を見せた。
笑顔がまったく見られなかったのは3日目のラウンド後。初日と同じ4アンダー、67で回り、26位タイまで上昇したが、「スコア自体はいい」と頷いた一方で「スコアには出ていないけど、しょうもないミスもいっぱいあった」と険しい表情を見せた。
ショットの感触は「良くもなく悪くもなく」、つまり満足してはいなかった。そして、スコアには出ていなくても、しょうもないミスをした自分が許せないという様子。それが、松山が完璧主義と呼ばれる所以なのだろう。
だが、表情が険しかったわりに、妙に饒舌だったところは興味深かった。
「簡単に4アンダーを出せそうな内容と必死で4アンダーで回った感じと、その両方です」
なるほど。考えてるなあ、悩んでるなあ、迷ってるなあ。揺れ動く松山。その揺れ動き方は、何か大きな変化が起こる予兆のように感じられた。
最終日の松山は、ちょっと違った。
最終日の松山は、それまでの3日間とは少しばかり異なるゴルフをしていた。フェアウェイキープ率は、わずか5割。グリーンは捉えても「ピンには付いてない」。前半はバーディーパットを次々外し、スコアを1つ落として折り返した。
だが、後半は次々に4バーディーを奪ってスコアを伸ばし、3アンダー、68で回って15位タイに食い込んだ。
ショットもパットも「なかなかうまく打てなかったけど気合いで乗り切りました。後半、いいパットじゃなくても入ってくれたのが大きかった。後半、(ショット、パットが)悪いながらも4バーディー取って終わることができて良かった」。
「気合い」という言葉が飛び出したのは意外だった。なぜ、そんなに気合いが入ったのかと言えば、ポイントを稼いでランクアップしない限り、翌週の第2戦には行けるにせよ、その先のプレーオフ第3戦、最終戦へ進んでいけないからだ。