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遠藤渓太が日本人3番目の“神”に。
鉄のウニオンで期待される役割とは。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/08/14 11:40
昨季のマリノス優勝に大きく貢献した遠藤渓太。東京五輪世代のサイドアタッカーが、ドイツでの挑戦をスタートさせる。
ウニオンのホーム戦を観てみた。
2019年9月27日、ウニオンのホームゲームをどうしても体験したくて、ブンデスリーガ第6節・ウニオン対アイントラハト・フランクフルト戦を観にベルリンへ向かいました。
ベルリン中央駅からドイツ鉄道Sバーン3号線に乗って車窓を見つめていると、最初は旧西ドイツ地区独特のハイソサエティで瀟洒な街並みが目を引きます。
しかし旧東ドイツ地区のベルリン東駅付近に差し掛かると、幾棟もが連なった無骨な集合団地がそびえ立ち、そのまた先を行くと今度はケーペニック区特有の森、河川、湖が点在する緑豊かな景色へと移り変わります。
スタジアム最寄りのケーペニック駅前は幹線道路とショッピングモールが近接している住宅地なのですが、そのモール内部を通り抜けて裏手へ出ると、そこにはブーレという名の小川が流れていて、その川沿いを歩いていくと森の隙間からアルテン・フェルステライが見えてきます。
普段のブンデスリーガのゲームでは、試合開始直前にならないと座席が埋まりません。ドイツのサッカーファン、サポーターは総じて挨拶や懇親を名目に知人たちとスタジアム近辺の屋台や特設バーなどに集まり、ソーセージパンを頬張り、ビールをがぶ飲みしているからです。
立ち見席がなんと1万8000人超!
しかし、特に熱狂的なサポーターが集結すると言われる、アルテン・フェルステライの北ゴール裏とバックスタンド周辺は、試合開始1時間前から立錐の余地もないほどに埋め尽くされます。
その理由は単純。なんと、全面立ち見席!
アウェーサポーターが陣取る南ゴール裏の一部と北側のメインスタンドのみが座席で、その割合は収容人数2万2012人に対して座席は3617人、そして立見席は1万8395人!
ウニオンサポーターは少しでも良い角度、そしてできるだけピッチから近い距離で試合観戦するために、早めにスタンドへ詰めかけてしまうんです。
「アイザン・ウニオン!」「アイザン・ウニオン!」
轟音にも似た声援がこだまする中でウニオンのスターティングイレブンが紹介されると、このクラブのサポーター独特のコールが一斉に鳴り響きます。