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遠藤渓太が日本人3番目の“神”に。
鉄のウニオンで期待される役割とは。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/08/14 11:40
昨季のマリノス優勝に大きく貢献した遠藤渓太。東京五輪世代のサイドアタッカーが、ドイツでの挑戦をスタートさせる。
ウニオンのレギュラー争いは熾烈。
ウニオンを率いるのはスイス人のウルス・フィッシャー監督です。
ブンデスリーガ2部に在籍していた2018-19シーズンから指揮を執り3位に食い込み、シュツットガルトとの入れ替え戦の末にクラブ史上初のブンデスリーガ1部昇格を決めた人物です。
また、昨季は下馬評が低い中で12勝5分17敗の勝ち点41で11位に入り、見事に1部残留を果たしました。フィッシャー監督が用いるシステムは4-1-4-1と3-4-3の併用で、対戦相手との力量やマッチアップを鑑みて柔軟に対応しています。
遠藤はいずれのシステムでも左ウイングでの起用、つまり横浜FM時代に慣れ親しんだポジションでの勝負が期待されます。
ただ、遠藤が挑むチーム内のレギュラー争いは熾烈を極めると思われます。
昨季までのチームで左ウイングを務めていたのは、27歳のドイツ人MFマリウス・ビュルターです。
昨季のビュルターは、2022シーズンまで契約を結んだブンデス3部マグデブルクからのレンタルという形でしたが、リーガ32試合出場、チーム2位の7得点を高く評価されて、完全移籍での契約を締結。ビュルターは遠藤よりも一足早く明確な成果を残したわけで、彼の牙城を崩すのは容易ではありません。
元ドイツ代表クルーゼも加入。
また、8月6日にはフェネルバフチェから元ドイツ代表FWマックス・クルーゼを完全移籍で獲得したことを発表しました。
クルーゼは2018-19シーズンに在籍したブレーメンで日本代表FW大迫勇也と共闘し、フロリアン・コーフェルト監督の3トップの中核として活躍した選手です。
クルーゼのプレースタイルは、いわゆるフリーロールという趣。スタートポジションが最前線中央であってもエリアを跨いでプレーし、フィニッシャーとしてだけでなく味方選手も生かすチームプレーヤーとしての能力が際立ちます。
遠藤がクルーゼとのセットで3トップの一角を任されるとなると、横浜FM時代のように左サイド付近を主戦場とするだけでなく、フレキシブルにポジションをチェンジし、多岐に渡るプレー選択を施す必要が生じるかもしれません。