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遠藤渓太が日本人3番目の“神”に。
鉄のウニオンで期待される役割とは。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/08/14 11:40
昨季のマリノス優勝に大きく貢献した遠藤渓太。東京五輪世代のサイドアタッカーが、ドイツでの挑戦をスタートさせる。
奥山、内田、そして遠藤渓太。
ドイツの各クラブは総じて選手紹介の際、スタジアムDJが選手のファーストネームをコールし、それに呼応してサポーターがラストネームを発するサポーティング文化です。
例えば、DJが「カピテン(キャプテン)、マコト!」とコールしたら、サポーターは「ハセベ!」と返すわけです。でも、ウニオンのサポーターは他クラブのサポーターとは一線を画す言葉を連呼します。
DJが選手のファーストネームを読み上げるのは同じですが、サポーターはどんな選手に対してもラストネームの代わりに「フッスバル・ゴット!」と叫ぶんです。
日本語に訳すと「サッカーの神」。そう、ウニオンのすべての選手はウニオナー(ウニオンサポーターの愛称)から畏敬の念を抱かれ、崇め奉られているのです。
遠藤は、クラブがレギオナルリーガ(4部)に属していた2005-06シーズンに在籍したDF奥山譲、そして2部時代の2017-18シーズンに半年プレーしたDF内田篤人(鹿島)に続いて、日本人3人目の「フッスバル・ゴット」として臨みます。
エンドーはサッカー上手、となるか。
先日、シュツットガルトの遠藤航に続いて“第2の遠藤”がブンデスリーガに降り立つ話題をドイツ人の知人に話したところ、「日本にはエンドーって名前が多いんだねぇ」と感想を漏らしておりました。
そこで調べて「いや、全国の名字順で遠藤は38位だよ」と説明し、「日本で多い名字は佐藤、鈴木、高橋だね」と続けると、「そんな名前の日本人選手、誰もブンデスリーガに来たことないじゃん!」と言っていました。確かに……。
エンドーはサッカーが上手い日本人の代名詞。
ドイツ人にそう認識してもらえることを願いながら、来シーズンのブンデスリーガに想いを馳せたいと思います。