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ついに再開、テニスのワールドツアー。
欧米でできてアジアでできない理由。
posted2020/08/11 20:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
ついにプロテニスのワールドツアーが再開された。男子より一足先に幕を開けた女子のWTAツアー第1戦の舞台は、イタリア・シチリアの州都パレルモ。もともとのツアーカレンダーでは7月20日から行われるはずだったクレーコートの大会だ。
賞金を削り、選手の行動エリアを厳しく限定し、審判やボールキッズの数を削減し、観客を制限し、選手と大会関係者は4日ごとに検査を行い、握手もなく、ファンサービスもない。
煩わしさに耐え、楽しみや喜びをあきらめなくてはならないが、これが新しいツアーの運営様式だ。つい決まり事を破ってしまった選手もいて、まだ全員の意識が追いついているとはいえないようだが、注目の大会はなんとか無事にやり遂げられた。
欧米の大会には大物選手がズラリと揃う。
イタリアはヨーロッパでもっとも新型コロナの感染状況が深刻だった国だ。
イタリア南部のシチリアは北部に比べて感染者の数が少なく、累計で約3500人、死者は300人以下だという。人口1400万人の東京での感染者数が累計1万6000人あまりで死者数が現在330人あまりというデータ(8月10日現在)と並べると、人口約500万人の島でのこの数字が「抑えられている」といえるのかという判断は難しい。そこで「Go」か「Stay」か……とる行動の違いはその国ごとの事情と国民性によって生まれるものなのだろうか。
続く今週は、チェコのプラハでのクレー大会と並んで、アメリカにも舞台が広がっている。
アメリカ大陸での開幕を担うケンタッキー州レキシントンは、昨年までATPチャレンジャーとITF女子サーキットを同時開催していた場所で、それが中止になった代わりに新たなWTA大会として開催されることになった。その大胆な決断に応えるように、WTAツアーの中では格の低い「インターナショナル」のカテゴリーであるにも関わらず、セレナ・ウイリアムズをはじめビーナス・ウィリアムズやビクトリア・アザレンカ、スローン・スティーブンスといったグランドスラム・チャンピオンが多数出場している。
そしていよいよ来週末からは、会場を本来のシンシナティからニューヨークに移した男女共催のビッグイベント、ウエスタン&サザン・オープンが開催され、8月31日開幕の全米オープンへと続く。