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バイエルンを変えたフリック監督。
悠々と国内2冠、CL優勝も現実的だ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2020/08/07 20:00
リーグ、国内カップ戦で優勝して2冠。フリックのバイエルンはCLでも優勝候補の限りなく筆頭に近い位置にいる。
8連覇中で最長の走行距離。
新監督のもう1つの大きな功績が意識改革だ。
フリック・サッカーの申し子であるミュラーは、こう語る。
「フリック監督の描くものは明確で理解しやすい。こんな風によく組織されているのは、グアルディオラが監督だったとき以来だよ。
そして今、無条件でレギュラーを約束されている者はいない。ピッチの上で見せるものが一番大切になる。例えば、レバンドフスキを見て欲しい。彼は得点力で他より秀でているだけではなくて、『ハードワーク』をしているんだ! 監督のもとでは、ストライカーを含めた全ての選手が以前より、守備でも走るようになったね」
「ハードワーク」というのが、フリックのキーワードの1つだ。それは走行距離にも顕著に表われている。
バイエルンの今季の1試合あたりの平均走行距離は115.8キロで、この数字は8連覇の8年間でも最長だ。
逆にボール支配率は62%と、この8年で2番目に低い。ちなみに最も低かったのはハインケスが三冠を達成した'12-'13シーズンで、高かったのはグアルディオラの3年間だ。
ハードワークはチームに完全に定着。
そしてバイエルンのハードワークは日を追うごとに洗練されている。
リーグ戦終了後のオフ期間を経て、初めての実戦となった7月31日のテストマッチでも、レバンドフスキやミュラーが、精力的にプレスをかけ続けていた。チームメイトに、どのタイミングで、どのコースから連動してほしいかを身振り手振りで指示することももちろん忘れない。
オフを挟んでも、新監督の植え付けたハードワークは失われていなかった。
こうした状況があるから、今のバイエルンに三冠の期待がかかるわけだ。