球体とリズムBACK NUMBER
“CLの王様”レアル撃破、マンCの妙。
冴えるグアルディオラ流ハイプレス。
posted2020/08/08 20:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
REUTERS/AFLO
「チャンピオンズリーグで優勝したいという夢を持っているのなら、彼ら(レアル・マドリー)を倒さなければならない。だからこの勝利はものすごく重要だ。今季だけでなく、クラブの未来にとっても。また選手たちだけでなく、ここで働く全スタッフ、そしてファンにとっても、本当に意味のあるものだ」
マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督は、チャンピオンズリーグのラウンド16でマドリーを下した後の記者会見で、そう話した。
疲労と達成感の滲む表情で、画面越しに各記者の質問を聞く彼はまず「(マドリーを下して8強入りできたことに)もちろん、満足以上のものを感じている」と言い、「この大会の王様」からの連勝を喜んだ。
スコアは2月下旬の第1戦と同様に2-1で終了。トータル4-2の結果を快勝と言っても差し支えないだろう。シティは、欧州制覇最多の13度を誇る白い巨人、そしてこれまでチャンピオンズリーグ決勝トーナメントで一度も敗退経験がなかった敵将ジネディーヌ・ジダンから、見事な勝利を収めた。
マドリーは2月より良化していたが。
敵地での第1戦でアドバンテージを得ていたシティだが、第2戦前の予想では、完全なるフェイバリット(優位)ではなかった。その主な要因は、この約半年間に起きたレアルの変化にある。
ジダン監督が統率する彼らは第1戦の当時、調子を崩しており、欧州でシティに敗れる前後に国内でベティスとレバンテという格下にも負けていた。ところが中断後のラ・リーガでは10連勝で逆転優勝を達成。ジダン監督のもとで固く団結したチームはその間、4失点しかせず、6試合で無失点勝利を収めている。
さらに負傷していたエデン・アザールやマルコ・アセンシオが戦列に復帰し、もとより際立つ個人能力がさらに高まっている。