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バイエルンを変えたフリック監督。
悠々と国内2冠、CL優勝も現実的だ。
posted2020/08/07 20:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
「我々が欲しいのは1つのタイトルではない。三冠を目指すんだ!」
選手たちに向かってそう宣言したのは、バイエルンのハンス・ディーター・フリック監督だ。
それはまだコロナ禍で世界が変わる前、今年1月のドーハでのキャンプでのこと。もちろんリーグ優勝も、国内カップ戦(DFBポカール)のタイトルも手にしていない時期だ。
しかしその後、バイエルンは圧倒的な強さを見せて2つのタイトルを獲り、CLの再開を前に、ドイツ中から彼らの三冠を信じ、期待する声があがっている。
CLは8月7日からラウンド16の未消化の4試合が再開する。その再開を前に、ドイツの老舗雑誌『キッカー』が「現在残っている12チームのなかで、どのチームが優勝すると思うか」というアンケートを行った。結果はバイエルンの優勝を予想する声が圧倒的多数だった。
1位 バイエルン 50.4%
2位 マンチェスター・シティ 12.6%
3位 レアル・マドリー 12.3%
4位 バルセロナ 7.6%
しかしこれは、単にドイツ人が調子に乗っているというわけでもない。期待を集めるには理由がある。
フリック就任後の記録がすさまじい。
シーズン途中の11月にフリック監督が就任してから、バイエルンがすさまじい成績を残しているからだ。すでにクラブ記録のいくつかを塗り替えている。
・公式戦26試合無敗(更新中)
・公式戦17連勝(更新中)
・リーグ後半戦の最多勝ち点49(16勝1分)
'71-'72シーズンの101得点に次ぐ歴代2位のシーズン100得点も記録したし、今季積み上げた勝ち点82は歴代5位タイの成績だ。フリック就任後のブンデスリーガの成績に注目すると、1試合あたりの平均勝ち点は2.67となる。
三冠を達成した'12-'13シーズンのユップ・ハインケス監督のチームがリーグ歴代最高の勝ち点を記録したが、そのときの1試合あたり2.68点とほぼ同じペースだ。フリックが開幕から指揮を取っていたら、最高記録を達成していたのではないかという人も多い。
そして、中断期間を経て再開したUEFAの4大リーグで、唯一の全勝を記録したのもバイエルンだった。