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ついたあだ名は「Mr.信頼」。
遠藤航の評価がドイツで爆上げ中。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2020/08/01 11:40
「復活≒1部返り咲き」という記念Tシャツを手にする遠藤航。27歳、大きな波が彼に向かってきている。
遠藤がいればアジアカップは優勝していた?
遠藤の守備能力については、日本代表のチームメイトたちも感じている。準優勝に終わった昨年のアジアカップ後、負傷で決勝戦を欠場した遠藤の不在を嘆く声が漏れ聞こえてきていた。
例えば、決勝戦でカタールのゴールの起点になったのはFWハサン・アル・ハイドスへの縦パスだったが、準決勝まで獅子奮迅の活躍をしていた遠藤がいればあのパスは通っていなかったのではという選手がいた。
ただそう発言することは、たとえその意図がなくても代役を務めた選手に火の粉が飛ぶ可能性がある。それを望む選手などいないので、当時はひっそりと語られていたのだ。
何にせよ、遠藤の危険の芽を摘む能力が日本代表にとって大きな意味を持っていると感じるチームメイトがいたことは間違いない。
決定的なパスも増えている。
ペレグリノ・マタラッツォ監督が就任して以降のシュツットガルトは、1アンカーではなくいわゆるダブルボランチのフォーメーションを採用する試合が増えた。それに伴い、遠藤が攻撃に参加できる回数が増えた。そして攻撃面の変化も、データに反映されている。
遠藤はマタラッツォ監督のもとで計15試合にフル出場したが、5試合ごとのデータを見ると、以下の2つの項目で気になる変化が起きている。
・スルーパス(1試合平均試行数/成功率)
・ペナルティエリア(PA)内へ送ったパス(1試合平均試行数/成功率)
変化は、以下の通りだ。
<19節~23節>
スルーパス1.6本/25%
PA内へのパス1.2本/33.3%
<24節~28節>
スルーパス1.8本/44%
PA内へのパス1.8本/33.3%
<29節~34節>
スルーパス2本/50%
PA内へのパス2.4本/58.3%
スルーパスもエリア内へのパスも、成功率が明らかに上がっており、エリア内へのパス本数は倍増している。
マタラッツォ監督がもう少し早く就任していたら、数字の変化はもっと顕著なものになっていただろう。今後への期待を感じさせる形で、遠藤のドイツ挑戦1年目は幕を閉じた。