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ついたあだ名は「Mr.信頼」。
遠藤航の評価がドイツで爆上げ中。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2020/08/01 11:40
「復活≒1部返り咲き」という記念Tシャツを手にする遠藤航。27歳、大きな波が彼に向かってきている。
むしろ、なぜ3カ月もベンチだったのか。
ちなみに“前”監督による遠藤の評価について、こんなエピソードがある。今季の初めから12月のウインターブレイクに入るまで指揮を取っていたティム・ヴァルターだ。
前述したとおりシーズン序盤の遠藤は出番を得られず、初先発を飾ったカールスルーエとのダービーマッチで好プレーを連続して定位置を確保したわけだが、この大活躍は逆の形で話題になった。
「加入から約3カ月もの間、遠藤がベンチに座らされていたのはなぜだったのか」、と。
ヴァルター前監督が周囲に対して「エンドウはボランチをやらせるにはあまりに背が小さい」と漏らしていたこと、「エンドウを試してみる時間がなかった」と言い訳をしていたことも地元メディアに“暴露”された。
『シュツットガルター・ツァイトゥング』紙は、初先発が11月末になったことについて、当時のヴァルター監督の手腕について厳しく伝えていた。
「日本から来たMFが素晴らしいプレーを披露するまでに、ヴァルターはなぜこんなに長い時間をかけたのだろうか? 少なくとも、これまでの遠藤は4バックのどこかのポジションのオプションでしかなかったわけで、44歳の監督は、遠藤のことを決して(本質的に)見ようとしなかった」
最終的に遠藤はヴァルターの信頼をつかんだし、監督解任の理由は、「選手たちの成長についてクラブ側と見解の違いがあると明らかになった」から。遠藤と直接的な関係はない。
ただ、遠藤のパフォーマンスに地元メディアが腰をぬかしたのは紛れもない事実だった。
香川、レバンドフスキらをブレイクさせた手腕。
同時に、遠藤は自らを評価してくれたSDに花を持たせることができた。
なにしろ、シーズンの最終盤にはドイツ最大の発行部数を誇る『ビルト』紙がこう伝えたくらいだ。
「遠藤の加入は『今季最大の移籍』である。これは、ミスリンタートSDの手がける典型的な移籍だ。ベルギーでプレーしていて、(ドイツに住む)多くの人が知らなかった選手をミスリンタートは発見してきたのだから。この移籍が、チームに欠けていた継続性をもたらしている」
ミスリンタートが、ドルトムントのスカウト時代に目をつけた香川真司、レバンドフスキ、オーバメヤン、デンベレらが、ブンデスリーガ初挑戦ながら次々にブレイクしたことがよく知られているからこその激賞だった。