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ポルト2冠も“消えた”中島翔哉。
名門1年目の苦境、来季はどうなる。
posted2020/08/04 11:30
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Mutsu Kawamori/AFLO
欧州クラブへ移籍した日本人選手が故障や体調不良、あるいはレギュラー争いに敗れて一定期間試合に出られないことは、これまでにもあった。しかし、チームから“追放”されてプレーさせてもらえない、というのは異例のケースではないか。
7月15日、ポルトガルの名門ポルトは強豪スポルティングに2-0と快勝。2節を残し、2シーズンぶり29度目のリーグ優勝を達成した。
この試合で、ポルトの日本代表MF中島翔哉はベンチ外だった。スタンドで試合を観戦することもなく、試合後はピッチに降りて監督、コーチ、チームメイトらと優勝の喜びを分かち合う輪の中にもいなかった。
翌節の7月20日、ポルトはホームでモレイレンセに6-1と大勝。試合後には選手ひとりひとりにリーグ優勝の記念メダルが授与されたが、そこにも中島の姿はなかった。
さらに8月1日、ポルトは今季最終戦となるポルトガル杯決勝で宿敵ベンフィカ相手に2-1で勝利し、リーグとあわせて2冠を達成した。しかし中島はこの試合も欠場。ベンチ入りしなかった選手はスタンドでチームを応援していたが、その中にもいなかった。
試合翌日、チームはホームスタジアムで集合写真を撮影したが、ここにも中島はいなかった。チームから完全に“消えた”状態で、名門クラブにおける最初のシーズンを終えたのである。
数多くの名選手を輩出したポルト。
ポルトガルにはベンフィカ、ポルト、スポルティングの3大クラブがある。
リーグ、カップ戦といった国内タイトルでは、ベンフィカが最多の優勝回数を誇る。しかし、国際舞台では欧州チャンピオンズリーグ(CL)、欧州リーグ(EL)をそれぞれ2度制覇しているポルトが最高の成績を残している。
近年では、名将ジョゼ・モウリーニョ(現トッテナム)がGKビトール・バイア、DFリカルド・カルバーリョ、MFデコ、マニシェ、コスティーニャらを擁して2002-03シーズンに欧州リーグを、2003-04シーズンにCLを制覇したチームが印象に残る。
格としてはレアル・マドリー、バルセロナ、バイエルン、マンチェスター・ユナイテッドといった超ビッグクラブのすぐ下に位置しているが、ここでの活躍を踏み台として世界トップレベルへ羽ばたいた選手、監督は少なくない。